カレッジマネジメント216号
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27いて扱う学科を構想した。調理だけでなく、加工品についても知らなければならないし、そのことを無視しては食がブラックボックス化してしまう状況にある。そのことを研究し、人材を送り出していくことが重要になっていると考えた。また、日本の産業構造では、第一次産業である農林水産業はGDPの1%しかないが、食の流通は、アグリビジネスや食料関連産業としてGDPの10%を占める。食産業はサービス産業化している。そこには、就職先もある」と話す。フード・マネジメント学科は、日本社会の食生活や食を取り巻く社会経済環境が変化する中で、伝統的な栄養科学とは異なる観点から食をテーマとする教育研究の必要性を背景にして作られたのである。そして、この「フード・マネジメント」の名称は、高校生への調査をもとに決めたものであり、食産業やフードビジネス等の候補の中で、高校生に最も人気のあった名前が採用されたという。日本初の学科名称は、変化する社会のニーズへの対応と進学者のニーズが重ね合わさった名称なのである。フード・マネジメント学科は、「栄養科学の知識・技術を基盤として、食品の研究・開発・製造に関する食科学をグローバルな視点から国内外のビジネスにつなげる高度な専門性と実践力を備え、食産業で活躍できる人材」の養成を教育目標とし、栄養学・食品ビジネス学・食品学等文理融合の教育課程として、栄養科学と食に関するビジネスの両方が分かる人材を育成するための教育を行っている(図1)。教員も文系・理系の教員によって構成されており、食品化学や経営学、食文化等様々な分野を専門とする教員が混在している。そして、教育の大きな特徴として、産業界との連携を進めており、30を超える企業・団体の協力を得ている。具体的には、1年次の「食品ビジネス戦略論」では、食品製造業、食品流通業、外食産業等の九州地域の食品ビジネスの企業からゲストティーチャーとして講師を招いており、食産業の第一線のプロによる講義を通じて、フードビジネスの現場や課題を実践から学んでいる。さらに、これらの企業・団体には、工場見学やインターンシップ等での協力も得ており、実践的な教育を取り入れているのである。実際に学生は、既に、様々な地域や企業と連携してプロジェクトを企画、商品開発等を体験しているという。そして、実践的な教育が重視されているもう一つの側面として、学生が、様々な資格が取得できるようにしていることが挙げられる。食品衛生監視員資格や食品衛生管理者資格(いずれも任用資格)が得られ、フードスペシャリスト資格、専門フードスペシャリスト資格の受験資格を得られるようにしている。さらに、姉妹校の中村調理製菓専門学校とのダブルスクールによって調理師免許の取得もできるようにしたうえで一部の科目免除や学費補助によってその資格取得をサポートしている。また、学生にはHACCP管理者資格の取得も勧めている。HACCP(ハサップ:Hazard Analysis Critical Control Point)とは、1960年代に米国で宇宙食の安全性を確保するために開発リクルート カレッジマネジメント216 / May - Jun. 2019図1 「フード・マネジメント学科」で学べる学問 資格取得で専門人材を養成特集 学部・学科トレンド 2019「フード・マネジメント学科」で学べる学問栄養学食品学食品ビジネス学食文化・調理学コミュニケーション学フィールドワーク●基礎栄養学●解剖生理学●機能栄養学●食品資源学●食品衛生学●発酵食品学●食品ビジネス戦略論●食品関係規約●フードマネジメント論●スポーツ栄養学●栄養・生化学実験●官能評価・識別演習●フードスペシャリスト論●マーケティング論●食産業学●食料経済学

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