カレッジマネジメント216号
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31退職後、銀行の取引先だった学園に着任すると、市場予測等環境認識、リーダーシップ、財務管理等において、銀行での仕事の進め方との大きな違いを感じる。非効率な不動産投資、女子の進学希望先分野と大学の開設分野のミスマッチ(短大の幼児教育分野を除くと併設高校からの内部進学は皆無に近かった)等、課題は多かった。石井理事長が、学園に来て最初に実行したことが、教職員の面接であった。学外の先生を含めて、3カ月半で250人と面談を行う。さらに、財務等データ・資料を読み込み、分析。仮説を立て、何が悪いかを考えた。銀行時代に企画部門や人事部門等で仕事を共にしてきた有能な人材2人を呼び寄せ、再建構想を練った。長年に亘る女子教育や教育者・保育者養成の伝統と実績や、当時の教育課程や教員配置の特長等から、大阪成蹊学園の持つ長所を洗い出し、既存学部、学科の改組の方向性を明確に描いた。そしてまず、キャンパスの雰囲気を変えた。挨拶の励行、身だしなみ、地域の自治会と連携した全面禁煙、さらには樹木を整理して、芝生を植える。食堂も改修した。すると、活気がなく退学者も多かったキャンパスの雰囲気はがらりと変わった。その後、理事長・総長、学長のガバナンスが発揮できる組織にするための大改革を行った。この9年間で、学園内に設置した部門・センター・研究所等は実に24に上り、専任の教職員数は200名以上増えた。学部・学科の新設・再編の状況(図2)を時間順に見てみよう。まず実施したのが、現代経営情報学部の名称変更である。高校生にとって学びの内容がイメージできるよう、2011年度からマネジメント学部へ名称変更した。次に芸術学部の改革である。2012年度にキャンパスを京都府長岡京市より移転して、大阪市内の相川キャンパスと統合した。京都には「5芸大」があって、「大阪」の名を冠する大学が志願者を集めることは難しいが、移転した今日では大阪市内で唯一の芸術学部である。この移転で、1時間以内に通学可能な高校の生徒数は8万人となり、以前の2倍になった。2014年度は芸術学部の入学定員を157人に増やす一方、教育学部(入学定員100人)を新設した。短期大学では、早くから保育科(1953年)、初等教育科(1956年)を設置しており教員・保育者養成の長い伝統を持つ。大阪の北摂地域の幼稚園、保育園における卒業生の在籍率は、70%に達するという。その短期大学で培った65年におよぶ教育の実績と伝統を基にした教育学部である。2015年度には、教育学部の入学定員を120人に増やすとともに、芸術学部3学科を1学科8コースへ再編し、入学定員も177人に増やした。さらに2016年度には、マネジメント学部のスポーツビジネスコースをスポーツマネジメント学科(入学定員90人)へ発展改組した。創立85周年の2018年度は、学部入学定員を477人から597人へと、再び大きく増やした年だ。マネジメント学部では、スポーツマネジメント学科を110人まで増加させ、新たに国際観光ビジネス学科(入学定員60人)を設置した。なお短期大学においては、1967年以来の国内で最も古い歴史を持つ観光学科も存続。多くの人材を輩出している。さらに、2018年度は、教育学部教育学科でも入学定員を60人増加させ、180人とした。同時に初等教育専攻(120人)、リクルート カレッジマネジメント216 / May - Jun. 2019図1 大阪成蹊大学 志願者・入学者等の状況(大学院を含む)0500100015002000250013031153928420368229226196327338533497511517664358283457430904893134316862091420350350350457477477477602956105113281609179719832141在籍者志願者入学者入学定員2009201020112012201320142015201620172018(年度)(人)戦略的な学部・学科の新設・再編特集 学部・学科トレンド 2019

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