カレッジマネジメント216号
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さらなる高みへ  いくつもの的が並ぶ弓道場。静けさの中で弓を引き続けているのが、愛媛大学・弓道部の部員たちだ。中四国にある大学のすべての弓道部が集う「中四国学生弓道選手権大会」において、男子団体戦で現在3連覇中、女子団体戦も昨年準優勝という強豪チームだ。21名の部員を率いるのが主将の三浦丈さん。「私たちの代でも優勝できるよう日々練習に励んでいます。大会での試合は、1チーム6名で1人4本ずつの矢を順番に放ち、計24本の点数で競います。主将として皆に伝えていることは『常に同じことをする』ということです。仮に1本目の矢をはずした時、残りの3本を的中できるかというメンタル的な不安や緊張を乗り切るには、普段の練習通り、自分を信じて弓を引くことが大切だからです」。そう語る三浦さんは、高校時代から弓道を始め、高校でも主将を務めたという。「高校時代に主将をやっていた時は、厳しくすることで鍛えていこうという考えが強かったのですが、大学では、コミュニケーションを大切にした方針を打ち出し、お互いに助言し合う環境を作ることを重視しています。弓道は一人では上達できません。弓を引いている間はしっかりと的を見なければならず、基本となる型のくずれや体勢のズレなどは、他者からのアドバイスが不可欠です。例えば、肩の位置がずれているなど普段と違う点に気づいたら、すぐに指摘してあげることが必要なのです。そのために自分のメンタルをコントロールして気持ちを前向きに保つことで他の部員たちに気配りできるようにしていることが、自分の成長にもつながっていますね」。弓道の魅力は、剣道や柔道のように対戦相手がいる競技とは違い、自分が的に当てていけば勝てる点だと三浦さんは言う。そのために、常に自分と戦い、仲間同士で技を磨き合っていかなくてはならない。この部の精神を表す言葉として受け継がれている「凌駕」は、さらに上へという想いが込められている。「さらなる高み」を目指す彼らならば、この伝統と連覇を受け継いでいくことだろう。            (写真・文/西山俊哉)学生のリーダー愛媛大学 弓道部当代当代Vol.77三浦 丈 さん(工学部機械工学科3年)

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