カレッジマネジメント217号
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29鵜木洋二氏が1997年に着任して始まった。鵜木氏は、民間企業での経験の後大学経営に従事したのだが、最初は疑問に思うことばかりだったという。同時期に着任した大谷常務理事は、「その疑問とは、大学の価値観と世間のそれの相違です。学校は1年周期で運営されることから、スピード感が全く異なるのです。大学の仕事のやり方は前例踏襲型で決められた手順、手続きを重視。先を読んでマーケティング力を発揮するという志向には不十分さを感じました。当時、経営的には十分な黒字でしたが、志願者の減少スピードは、全国平均、福岡県平均よりも速く、このままでは危ないことは一目瞭然でした。これからの大学のあるべき文化風土を模索するところから始まりました」と、回顧される。“For all the students”を経営理念として掲げ、“Just Do It!”を行動規範とし、大きく舵を切って新たな船出をした。1998年には、現在に続く最初のマスタープラン(中期経営計画)が策定された。5カ年計画だが毎年レビューをし、3カ年度で見直しをする。現在は2019年度からの第8次マスタープランになる。もちろん、以前にも経営計画等はあったにはあったが、組織的な周知、展開が不十分で、全学的なマスタープラン策定はこれが最初である。往々にして計画が計画倒れに終わるのは、計画遂行の具体策や財政的根拠を欠くことによる。そこでマスタープランにもとづき中期財政計画を立て、これもマスタープランと同頻度でレビューならびに見直しを行う。特筆すべきは、マスタープランを具体化し実施する行動計画としてアクションプログラムを置き、予算と連動させたことである。教学(大学・短大・高校)と事務局双方の約50にわたる各セクションから申請される、毎年300以上の単年度の改善計画の内、特別予算については、予算審査会において審査し、審査結果の順位を公開するとともに、半期ごとにレビューを行い、予算期間が終了したら、成果報告会として教員(審査員)の前でプレゼンを行うこととしている(図表2)。計画の可能性に対する予算付与という方式は、予算は投リクルート カレッジマネジメント217 / Jul. - Aug. 2019特集 大学改革と新時代のガバナンス02,0004,0006,0008,00010,00012,000H31H30H29H28H27H26H25H24H23H22H21H20H19H18H17H16H15H14H13H12H11H10H9H8H7H6H50501001502008,1701981861771731681621551511511501461411371331301241211221201191231181201191201181177,6796,3015,2825,2114,7244,1164,1934,6904,4214,2824,0313,7513,3133,6443,7264,2304,5194,8515,1705,5906,3436,5646,9399,5649,94910,874志願者数18歳人口(人)(万人)図表1 志願者数推移図表2 経営管理システム学園全体の骨太の方針中期経営計画(マスタープラン)部門別中期運営計画・中期財政計画MP行動計画(アクションプログラム)APMPに基づく部門別の方針・計画/MPの財政的根拠各セクションでの単年度行動計画Check点検・評価Plan計 画Do実 行Action改 善一般予算特別予算●成果報告(教育・研究活動報告書)●問題解決・改善●業務遂行●AP実施状況確認 ●自己点検・認証評価 ●外部評価(格付)情報公表コンプライアンス

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