カレッジマネジメント217号
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40リクルート カレッジマネジメント217 / Jul. - Aug. 2019を締結し、2019年3月22日に、井戸敏三兵庫県知事立ち会いの下「合併契約書」に調印しました(写真参照)。本合併は、学校法人の合併に先立って実施する神戸山手大学現代社会学部のいわゆる学部譲渡(設置者変更)による大学統合は、制度改正の適用第一号となる見込みです。合併の目的は、両法人が合併することにより、兵庫県下で長らく教育活動を行い、地域に根ざした両法人が、お互いの教育理念の理解のもと、それぞれの強みを活かして、より一層教育研究機能の強化をはかり、魅力ある中等・高等教育を地域社会に提供し、国際社会に貢献する有為な人材育成を通じて社会的な使命を達成し、新しい時代にふさわしい教育・ 経営基盤の強化を図ることにあります。兵庫県ではこの 10年間に 3 大学(神戸ファッション造形大学、聖トマス大学、神戸夙川学院大学)が廃校となった状況のなかにあって、関西国際大学と神戸山手大学が統合することは、高等教育の連携・統合の一つの方向を示すものと考えています。大学の統合にはいくつかの方式がありますが、今回の統合は、前述の通りいわゆる「学部譲渡(学部の設置者変更)」による大学統合という点です。この方式においては、円滑かつ簡便な手続きによる事業譲渡が期待できることに加えて、学部譲渡後の改組転換を早期(2021年4月を目途)にすることができることに利点があると考えました。そのため、今回の手続きでは、2020年4月2日の法人合併の前日である4月1日に、「神戸山手大学現代社会学部」の設置者変更を行い、より簡素化された手続きで、2020年4月に法人合併と大学の統合を同時期に行うことになります。法人合併によってどのような効果やメリットがあると考えたのでしょうか。主なものは以下の5点でした①総合学園化による教育連携の充実認定こども園・幼稚園、専門学校、大学、大学院の設置者である濱名学院と、中学校、高等学校、大学の設置者である神戸山手学園が合併することにより、小学校を除き、幼児教育から中高、大学、大学院を設置する総合学園としての学校法人となり、同一法人内での教育連携により、それぞれの機関の教育効果を上げることが可能だと考えています。(図2参照)②両法人の強みを活かしたシナジー効果 両法人に蓄積された経験や知見を合わせることにより、双方の弱みを補完し強みを伸ばし相乗効果を生み出すことで、単独ではなしえなかったことにも取り組む体制が構築でき教育基盤の充実を図ることができます。関西国際大学の先進的な教育システムと、1924(大正13)年に「山手学習院」として地域の協力により創立されて以来、94年もの長きにわたり神戸地域で、歴史ある女子の中等教育機関としての歴史と実績が融合していくことによって、伝統と先進性のシナジー効果が期待できます。③大学経営の適正規模の達成日本私立学校振興・共済事業団の調査では、入学定員 800人(収容定員3000人程度)が、入学者数が入学定員に満たないボーダーラインとなっています。18歳人口の減少が大学経営に深刻な影響を与えるなか、全国の私立大学の3 割(入学定員800人以上)の大学が全体の70%の入学定員を占め、7割(入学定員800人未満)の大学が残り30%の入学定員を分け合っている現実からも、3000人規模の中規模大学となることの意味は大きいといえます。④3つのキャンパスの特性を活かした先進教育の充実「三木キャンパス」では地域ニーズに即した健康・スポーツに焦点をあてた教育、「尼崎キャンパス」では教員養成と社会人教育を、「神戸山手キャンパス」では安全・観光等をキーワードにしつつリベラルアーツ色ある教育、といったようにキャンパスごとに特色化を図ることができます。目的養成系学部とそれ以外の学部との棲み分けによる3キャンパスの特色をわかりやすくし、教学マネジメントも効率化できるようにします。⑤女子高等学校と大学との高大連携の促進 神戸山手女子高校生の進路として、女性専門職業人養成の代表的分野である保健医療学部(看護師)や教育学部(教員、保育士)を持つ関西国際大学との連携により、内部推薦入学等の可能性が広がります。ただし、系列校を大学の定員充足のためのプールとは考えず、将来に女性職業人になり得る基盤力育成を強化したいと思います。以上のような、メリットが双方にあるという確認が両法人2)法人合併計画の概要2)合併により期待できる効果

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