カレッジマネジメント217号
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43リクルート カレッジマネジメント217 / Jul. - Aug. 2019て、卒業する前に自らの大学での学びを締めくくり、社会に出る備えをするための、4年生を対象とした「教養探究ゼミ」を開講し、私も担当しています。学部のゼミとは別の、様々な学部の学生が共に学ぶセミです。また、学生の声も聞きたいと願い、できる限り昼ご飯を学食で食べ、学生たちと会話する機会を持つようにしています。中京大学長期計画「NEXT10」開学60周年を迎える2014年には、数年間全学を挙げて取り組まれた中京大学長期計画「NEXT10」が策定されました。基本方針として「しなやかに挑み続ける新生・中京大学」が掲げられました。多様化する社会でワールドワイドに活躍するためには、変化に対応する柔軟性を身につけてほしいという思いを“しなやか”に込めました。NEXT10は、①(教育分野)自ら考え、行動するしなやかな知識人を育成する、②(研究分野)研究力を強化し、中京大学を飛躍させる、③(社会連携分野)地域の交流・連携の核となる、④(国際化分野)世界をキャンパスに、キャンパスを世界に、⑤(卒業生連携分野)世代を超えるChukyoアイデンティティ―の5つの骨子と、それらを具現化するための10の推進事項で形成され、そのもとに多くのプロジェクトが立ち上げられました。一端をご紹介しますと、教育の面では、大学全体の課題を議論する場として、教育構想会議を設けました。学長が会議に取り組むべき課題を諮問し、答申をまとめていただき全学で確認した上で、関係部署に指示していく体制です。メンバーは副学長を議長に、各学部委員、職員で構成され、その下に部会が設けられています。このほか、私学ですので大学の歴史等中京大学を知る自校教育を科目化するプロジェクト、奨学金・授業料減免プロジェクト、学生支援システム構築プロジェクト、教学ガバナンス見直しプロジェクト等も設けました。大きかったのは教育・研究にかかわる予算制度プロジェクトで、それまでの分配基準を廃止して、各学部が教育上真に必要とする予算を組む概算要求方式とし、研究費も一律配賦方式に代わり、研究実績に基づきメリハリをつけるようにしました。教職協働の加速しなやかに挑み続けるうえで重要なのは教職員の姿勢です。受験者数も就職率も安定している、何もしなくてもこの先も何とかなると思うのが一番危険です。教職員全員が同じ方向を向くようにするのが学長の仕事ですので、学部長懇談会、副学部長懇談会、研究科長懇談会を随時開催し、取り組むべき課題を伝達しています。また、教職協働を重視し、教職員双方が今どんなことを課題とし、検討を進めているかを知る必要があるので、部長会、課長会、そして現場の最前線で学生と接している係長・主任会を開催しています。現場の問題や意見を聞き、大学の方針などを私が説明する場となっています。また、今年度から学事・SD(スタッフ・ディベロップメント)担当学長補佐、また、3つの学部の副学部長に行政職員が就き、教員との橋渡しだけでなく、教員・職員が協力して、教育の質保証・研究の一層の充実を行う体制を構築しました。100周年に向けて2023年の学園創立100周年に向けて、学園全体で国内外にさらに存在感を高めるのが大きな目標です。2020年4月には新学部(国際学部)を設置する予定です。1年次に1セメスターの留学を経験し、国際学の学びのベースとなる実践的英語力を習得し、世界的視野と確かな語学力をもって「人文科学」と「社会科学」にわたる専門の知識・能力を複合的に身につけ、政策立案のできる人材を育てることを目標にしています。これからもさらなる発展を目指し改革を続けていきます。また、改めて本学のブランド力を確かめ、高めるべくプロジェクトを立ち上げているところですが、これまでに培われてきた本学の学生の明るく、積極的で、精神的にタフだという面は大事にしていきたいと考えています。これらは、まさに多様な国際社会を生き抜くのに必要な能力で、たとえ偏差値が上がったとしてもそういう面が減退しては本学の特色もなくなります。初期の体育学部には全国から学生が集まり、それが学内の活気につながっていました。今は県外出身者が少し減っており、残念です。そこで全国の校友会支部など卒業生と連携し、奨学金制度も増やすなどしていて、100周年に向けて全国及び海外からも意欲溢れる学生がさらに集い、何事にも果敢に挑戦していく進取の精神をもった人材を多く育成していきたいと思います。学生に負けないよう、大学をますます発展させるべく、学生―教員―職員が一体となって努めてまいります。大学を取りまく厳しい状況もたくさんありますが、教育はロマンです。夢をもって、わくわくしながら大学運営を行いたい、そうロマンチックに、と思っています。

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