カレッジマネジメント217号
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6リクルート カレッジマネジメント217 / Jul. - Aug. 2019司会 まず最初に、今大学のガバナンス改革が課題に挙げられている背景はどのようなことなのでしょうか。吉武 いくつかありますが、今、世界的に高等教育の費用が高騰しているということが背景にあると思います。その費用を一体誰が負担するのか、教育や研究に投資したことに対して成果が出ているのか、大学の運営に大きな課題はないのかということを、社会が注目しているのです。つまり、社会やステークホルダーから見て、大学が十分に機能していることが求められていて、そのための一つの仕組みとしてガバナンス改革が強調されているのだろうと考えています。司会 北城先生は大学経営協会や、国際基督教大学(以下、ICU)の理事長としてガバナンス改革について長年にわたり提言されてきましたが、日本の大学のガバナンスについて、どのあたりに課題があると考えていらっしゃいますか。北城 最近、日本の教育力が落ちているのではないかとか、AIやビッグデータといった急速な技術革新に日本の大学は対応できるように改革しているんだろうかという疑問があるわけです。優れたリーダーが強いリーダーシップを持って改革を推進する必要があるなかで、本当に改革を実現できるような仕組みになっているのかということが、ガバナンスが議論されている背景にあると思います。よく考えてみると、例えば日本の大学が変わりにくかった理由の一つは、教授会に多くの権限があって、大学運営のほとんどのことは教授会が決めており、見識のある学長が大学を改革しようとしても、組織運営の最終企業経営と大学経営の論理は、一様に語られるべきものではない。しかし、意思決定の構造や、社会的信頼を確立しながら独自の価値を社会に還元するという、組織体としての視点を共有することは、改革のスピードを高めようとする今の大学においては意義のあることではないだろうか。そこで今回、企業でのビジネス経験のある大学経営者の方々に、大学のガバナンスにおける課題について議論いただき、今後の方向性を探った。1.学校教育法(昭和22年法律第26号)の一部改正(1)副学長の職務(第92条第4項関係) 副学長の職務は、これまでは「学長の職務を助ける」と規定されてきたが、学長の補佐体制を強化するため、学長の指示を受けた範囲において、副学長が自らの権限で校務を処理することを可能にすることで、より円滑かつ柔軟な大学運営を可能にするため、副学長の職務を、「学長を助け、命を受けて校務をつかさどる」に改めたこと。(2)教授会の役割の明確化(第93条関係) 教授会については、これまで「重要な事項を審議する」と規定されてきたが、教授会は、教育研究に関する事項について審議する機関であり、また、決定権者である学長等に対して、意見を述べる関係にあることを明確化するため、以下のとおり改正を行ったこと。①教授会は、学生の入学、卒業及び課程の修了、学位の授与その他教育研究に関する重要な事項で教授会の意見を聴くことが必要であると学長が定めるものについて、学長が決定を行うに当たり意見を述べることとしたこと。(第93条第2項)②教授会は、学長等がつかさどる教育研究に関する事項について審議し、及び学長等の求めに応じ、意見を述べることができることとしたこと。(第93条第3項)文部科学省 2014年「学校教育法施行規則及び国立大学法人法施行規則の一部を改正 する省令」よりCOLUMN高等教育の費用が高騰し教育力を高める機能に社会が注目しているなぜ今「ガバナンス」か

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