カレッジマネジメント218号
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52リクルート カレッジマネジメント218 / Sep. - Oct. 2019切磋琢磨しようとしているのだそうだ。面白いエピソードを聞いた。現在に至る大学改革の先陣を切ったのは立命館であった。今でこそ当たり前になった地方入試であるが、立命館大学が本腰を入れて地方入試を始めたとき、周囲の大学はそんなものかと横目で見るようなスタンスをとっていたが、数年後には喫緊の課題と受け止め、同じように地方入試の本格展開を始めた。また、関西大学が外国語学部を設置する際には、2000年に開学したアジア太平洋立命館大学に大いに刺激を受け、学ぶところが多かったという。また、同志社大学や立命館大学は、2006年に附属小学校を設置し、大学・大学院までの一貫教育体制を敷いた。関西学院大学の初等部の開設は2008年である。関西大学もこうした動きに大きな刺激を受けた。2010年の初等部の開設の背景には、ライバルの動きがあったのだ。関西大学の2000年代の大学改革は、決して関西大学だけのものではなく、関関同立に共通しており、それぞれが競ってスケールアップした。お互い、競争相手であり、同志なのだ。関西大学のブランド力も、こうした過程の中で作られてきたといってよいだろう。ところで、これだけの規模拡大を遂げると、学内の意思決定を図ることは容易ではなくなる。しかしながら、迅速な意思決定のもとでのスピーディな改革は益々求められるようになる。そこで、学部の新設・改組が始まる2006年ころから、学内行政手続きの効率化の議論を重ねた。2008年に、教育推進部、研究推進部、社会連携部、国際部の4部による教学マネジメント体制を整え、それぞれの部長を副学長が担当することとした。教育推進部には4名、国際部には5名の専任の教員が置かれた。また、研究推進部には8名のURAが配置されている。社会連携部には、産学官連携センター、高大連携センター等7つのセンターを置き、それぞれにセンター長が置かれるとともに、必要に応じて副センター長やコーディネーターが置かれた。各部にそれぞれ専門性を有する人材を専従で配置したことで、専門性と独立性が高くなり、中長期的な視点でもって議論し、方針を定めることができるようになった。これら4部はそれぞれ意思決定機関として位置づけられている。従って、その審議結果の大半は、学長のもとにある学部長・研究科長会議に対して「報告」すればよい。専門的見地からの審議結果の説得性は高く、学部長・研究科長会議で紛糾することも少なくなった。もちろん、この4部は事務組織と連動している。教育推進部には学事局が、研究推進部と社会連携部には、研究推進・社会連携事務局が、国際部には国際事務局が事務組織としてバックアップする体制が構築されている。事務組織に関して言えば、2009年には教務センターを設置した。これは、学部固有の事務、学部を横断する事務という二重の体制をスリム化し、事務手続きの煩雑さの軽減を図ることが目的であった。話は前後するが、2008年には、学部長・研究科長会議の決議を案件によって3分の2決定としたことも注目に値する。多くは全会一致を旨としてきたこうした会議であるが、学部数にして13にもなると、容易に全会一致には到達しない。そこで、全教授会・全研究科委員会の全会一致ではなく、構成員の3分の2が賛成すれば、案件によっては決定できるというルールを敷いたのである。「大学という組織は、リーダーシップという名を借りた恣意的な独裁は排除せねばなりません。異論があっても十分な議論を尽くしてメンバーが納得するという仕組みが必要です。他方で、大学は学部教授会の集合体としてだけ存在しているわけではありません。大学として進むべき方向を定めることは一層重要になっています。こうした中で生み出されたの教育推進部副学長(部長)研究推進部副学長(部長)社会連携部副学長(部長)国際部副学長(部長)法学部法学研究科文学研究科文学部化学生命工学部会計研究科(会計専門職大学院)<13研究科+3専門職大学院><13学部>…………学 長学部長・研究科長会議図表2 教学の4部体制スピーディな意思決定のための学内行政効率化
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