カレッジマネジメント218号
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55を持ち続け、自分らしく生きてほしい。今なおその精神は受け継がれている。1990年代から2000年代にかけて、多くの女子大学が共学化の途を選んだ。ではその頃、安田女子大学は何を考えていたのだろうか。瀬山敏雄学長は「議論がなかったわけではないです。しかし、ここで『共学のほうがいいじゃないか』と言ってしまっては、これまでのことは何だったのかということになる。それに女子大学には女子大学の使命というものがあって、それがなくなったようにも思えなかった。だからわれわれとしては『女子大学としていかに成長するのか』という視点にこだわることにしたのです」と答える。ただ、この判断には、さらに二つのポイントがある。一つは、女子大学であることは大事にしつつも、「女子(女性)として」ではなく、「人として」この社会で生きていくために必要な学びという発想を軸に、学部の増設を試みたこと。人としての可能性をいかに広げるかという問いを強く意識している。もう一つは、十分な資金に裏付けされたうえでの学部増設を行っていることだ。「新しいことは、資金が用意できるまでしません。準備ができたら、描いていたプランを実行にうつす。教育事業ですから、節約しながらまじめにやっていれば、それなりのものは用意できます」と学長は語る。堅実な経営を展開しているからこそ、拡大しても教育事業に集中することができる。だからこそ、ということもできるのだろう。安田女子大学の挑戦は、高校生や保護者からも支持されている。図表2に、2000年以降の入学定員数と志願倍率の推移を示した。学部増設に伴う入学定員数の増加が著しい中、他大学に向いていた志願者を振り向かせたのか、潜在的な需要を掘り起こしたのか。志願倍率は低下するどころか、むしろ上昇傾向にあるようにもみえる。驚きなのは、どの学部にも高い水準の志願倍率が確認できることだ。2018年の数値を示せば、文学部の志願倍率は4.80倍、現代ビジネス学部5.13倍、家政学部4.10倍、薬学部3.96倍、教育学部5.21倍、心理学部6.16倍、看護学部4.94倍。創設当時こそ定員割れに悩んだ薬学部も、今では十分な志願者が集まり、定員もほリクルート カレッジマネジメント218 / Sep. - Oct. 2019図表2 入学定員数と志願倍率(大学全体)020040060080010001200140018年17年16年15年14年13年12年11年10年09年08年07年06年05年04年03年02年01年2000年志願倍率全入学定員数(人)(倍)0123456入学定員志願倍率特集 進学ブランド力調査 2019大事にした「女子大学としての使命」

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