カレッジマネジメント218号
56/80

56リクルート カレッジマネジメント218 / Sep. - Oct. 2019ぼ埋まるまでに成長している。女子大学であり続けるという選択肢をとったことは、教育面でもプラスに働いている。5年ほど前、カリフォルニア大学の行動経済学者、ウリ・ニーズィーらが記した『その問題、経済学で解決できます』(訳書2014年、東洋経済新報社)が話題になった。その中に女子の競争力について指摘された箇所がある。実験の結果、「女子は、男子がいないところでのみ競争力を示す」ことが明らかになったという。安田女子大学では、この指摘を思い起こさせるようなことが生じている。「人として、女子にも活躍してほしい。しかし残念ながら、男子がいることで遠慮してしまう女子がいるのも否定できない一つの事実ではないでしょうか。人として成長を阻むようなエクスキューズをいかに取り払うか。女子大学の重要な役目の一つは、ここにもあると思っています」。瀬山学長は、学生達のはつらつとした姿をみるにつけ、女子大学であることの意義を再認識しているという。安田女子大学には、オリエンテーションセミナー(オリゼミ)と呼ばれるイベントがある。新入生の大学への適応を目的とした40年以上も続く2泊3日の合宿だが、新2年生が半年以上もの月日をかけて本気で準備する。教職員はあくまで支援側。オリゼミが無事に終了したとき、学生達は皆、感極まって泣くそうだ。一つのプロジェクトをやり遂げた。自分達が考え、自分達の手で作り上げた。その経験が学生達を大きく成長させていることは間違いない。安田女子大学の特徴は「まほろば教養ゼミ」と「チューター」からも説明される。「すぐれてよいところ」を意味する言葉として『古事記』に登場する「まほろば」を冠したこのゼミは、クラス単位の運営となっており、週に1度、クラス全員が顔を合わせ、講演会やクラス討議、レクリエーション等を行っている。学園訓にもとづいた豊かで確かな自己表現が達成できるようにと始めた取り組みだ(図表3)。例えば、裁判員制度を知るための時間に充てる。一つのテーマを取り上げ、ブレインストーミングをする。そして夏には流しそうめん、秋には焼き芋を行うクラスが出てくるのも、このまほろば教養ゼミだ。ゼミをリードするのは、クラスごとに決められたチューター(担任教員)である。4年間持ち上がりとなるチューターは、まほろば教養ゼミの運営はもちろん、学修・生活面全般まで、学生一人ひとりに合わせた多角的できめ細やかなサポートを行う。分からないことや困ったことがあれば、まず、チューターに相談する。そうすれば、適切な指導、助言が得られるようになっている。なお、安田女子大学を卒業するためには、国の基準である124単位のほかに、まほろば教養ゼミを毎年受けることによって得られる4単位が必要になる。まほろば教養ゼミは外せない。このゼミがいかに重要なポジションを担っているのか、こうした側面からうかがい知ることもできるだろう。関連して、硬筆書写講座についても紹介しておこう。安田女子大学では、好感を持たれる手書き文字の習得を目指して、全学生を対象に硬筆書写講座を開講してい図表3 まほろば教養ゼミの特徴週1・クラス全員参加講演会やクラス討議、レクリエーションなど卒業に必要な4単位4年間持ち上がりのチューター(担任教員)硬筆書写講座まほろば教養ゼミまほろば教養ゼミとチューター全学生対象の硬筆書写講座女子のみの環境という利点

元のページ  ../index.html#56

このブックを見る