カレッジマネジメント218号
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64リクルート カレッジマネジメント218 / Sep. - Oct. 2019日本初の私立の工業学校誕生1987年の明治時代、日本の近代的な工業化を急ピッチで進めるうえで、工手(技師)不足は大きな障害となっていました。そこで旧帝大の初代総長、渡邉洪基と発起人14人が、日本の私立で最初の工業学校として、「工手学校」を創立したのが本学の成り立ちです。当時から、現在の工学分野をカバーする土木、機械、電工、造家、造船、採鉱、冶金、製造舎密の8学科でスタートしました。1923年、関東大震災で築地校舎が焼失し、5年後の1928年に新宿キャンパスへの移転に伴い「工学院」へ改称しました。1963年には大型規模の実験を行うため、大学としては最初に八王子市内に進出し、新宿と八王子の2キャンパス体制となりました。新制大学となってから、長く工学部1学部でしたが、2006年に情報学部、グローバルエンジニアリング学部(2015年に先進工学部へ発展的改組)を設置して3学部体制となり、2011年には日本で最初の建築学部も設置しました。建築の幅広さは工学部の中だけでは表現しきれないと判断し、パイオニアとして先陣を切った形です。2015年には先進工学部を設置し、現在の4学部体制となっています。今年で創立132年を迎えますが、現場でリーダーシップを取れる、実践的な力を備えたエンジニアを育成する大学として発展してきました。これまでに輩出した卒業生は約16万人と、日本の近代的な工業化を中心になって支えてきたといえるでしょう。工学と社会の結びを強める“ドメインの拡大”本学の教育の特徴は、基礎学力をベースに、1年次から社会や実務との接点を意識した教育を実践している点です。特に、我々は“ドメインの拡大”という言い方をしますが、工学の枠を広げ、もっと社会や周辺の学問領域との結びつきを強化すべきと考え、学部再編や、社会と学生の接点強化に注力してきました。例えば、国内最大規模の産学マッチングイベント「イノベーション・ジャパン2019」では、「大学等シーズ展示」に本学の27テーマが採択され、全国国公私立大学の中で、採択数日本一になりました。また、約50のサポート企業から最先端素材・技術支さとう・みつのぶ氏1955年生まれ1982年東京大学大学院工学系研究科博士課程満期退学、国立科学博物館工学研究部・理工学研究部1991年工学院大学工学部共通課程講師2002年工学院大学工学部共通課程教授2011年工学院大学基礎・教養教育部門教授2015年工学院大学先進工学部応用物理学科教授、工学院大学学長グローバルな視点でイノベーションを生み出す「開発型技術者」を育成工学院大学 学長佐藤 光史

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