カレッジマネジメント218号
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68リクルート カレッジマネジメント218 / Sep. - Oct. 2019いいか、どういう検査計画がいいか、具体的に話し合う。医療現場ではなく生活の場を想定し、会社で糖尿病の社員をどうフォローしていくか、といった掘り下げ方もあります」(木村学長)。医療保健学部看護学科の佐々木美奈子教授は、この演習には東京医療保健大学ならではの特徴があると語る。「多職種が集まるチーム医療といっても、医学部のある大学では、医師がリーダーとして治療を行う際の協働を前提とすることが多いと思います。一方本学は、集まったメンバーで、対象者の健康・生活を考えながら、最良のケア展開を考える演習としています。異なる学問領域を学んできた学生達が、フラットな関係で連携をとりながら、互いの力を引き出しあっていくのが特徴だと思っています」。木村学長は医師の立場から、「チーム医療は、医者が中心ではダメなのです」と言う。「まずは患者さん、そして、患者さんとの接触の時間が一番長い看護職が中心に平等に議論できなければならない」。それを受けて佐々木教授も「積極的にリーダーシップを取っていける看護師の育成を意識しています」とし、「リーダーになる機会があること、他者と一緒に自分が考えなければと思えることは、協働実践演習の大きな強みの1つだと思っています」と言う。協働実践演習の実施上の困難としては、まず、時間割の設定があげられる。当初は4年生の4月に実施していたが、就職活動の時期だったり、同じ日に専門科目の授業があったりするために、学生が集中を欠くことがあり、夏休みを少し削って8月に「月曜から金曜まで、終日この演習のみ」という現在の形に落ち着いた。また、実施を重ねて共通認識ができてくるまでは、教員の協働がスムーズでない面もあったという。「正直なところ、専門科目もあるなかでこの科目にどれだけ注力するのか、他学科の先生方はどう思っているのだろうと様子をうかがっていたこともありました。同じ目標を目指している実感が持てると、一気に進んできたと思います」(看護学科・佐々木教授)。「看護も医療栄養も教員が多いので、一部の人しか知らない状況を回避するために、色んな先生が関わる工夫をしてもらいました。教員が少ない医療情報学科にはない苦労だったと思います」(医療情報学科・瀬戸准教授)。コラボレーション教育、なかでも協働実践演習の成果については、卒業生から様々な感想が聞かれている。医療栄養学科から病院に就職した卒業生は、「他職種と一緒に同じ現場で働くのがスムーズだ、違和感なくできる」、医療情報学科の卒業生は「医療の仕事に対する理解を深められたとともに、コミュニケーションの大切さを学んだことが現在の仕事に生きている」といったものだ。「協働とは何か、チームアプローチとは何かは、分かってはいても、現場でどうまとまるのか、つながるのか、実践してみて初めて分かることも多いでしょう。途中で必ず学生達はぶつかり合うので、そのなかで、自分とは異なる考え方に触れる貴重さ、違う分野・領域の人と協働する難しさといった言葉が出てくる。多様性理解にも役に立っていると思います」(木村学長)。こうした学びは、病院以外に、企業や学校、行政などで専門職として働く際にも役立つものだろう。今後の方向性について木村学長は、「建学の精神にも『寛容と温かみのある人間性と生命に対する畏敬の念を尊重する精神』とありますが、世の中が多様化してきて、患者さんあるいはご家族の考え方も色々なので、それを寛容に受け止めて、温かい人間性で対応できる人材を育成していくことを大切にしている」と語る。また、最初に開設した医療保健学部だけが「基幹学部」として伸びていくのではなく、他の学部・キャンパスもそれぞれの特徴を生かしつつ等しくレベルアップしていくよう、努力しているという。2017年12月には、6つの柱からなる「東京医療保健大学ビジョン」を発表した。「今、少子高齢化で、どちらかというと先が暗い展望を持つ人が多いと思いますが、そうではなく、多様な人々のwell-beingが達成できる、明るい未来の医療保健を創造しようと頑張っています」(木村学長)。教員の共通認識がスムーズな協働の鍵異なる考えと触れる機会が仕事に生きるビジョンの実現に向けたレベルアップを目指す(角方正幸 リアセックキャリア総合研究所 所長)

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