カレッジマネジメント219号
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22リクルート カレッジマネジメント219 / Nov. - Dec. 2019ろ、80%が「役に立った」と回答した(図表18)。入試方法別に見ると、AO・推薦入試層87%が一般・センター層73%を10ポイント以上上回り、AO・推薦入試層のほうが役立ち度は高い。特に、AO・推薦入試層は、約半数の45%の高校生が「非常に役に立った」と回答しており、「アドミッション・ポリシー」を活用した進路選択をしている実態がうかがえる。同じく高校教員に活用度を聞いたところ、57%が「進路指導で活用」していることが分かった。このことから、志望校を検討するに当たり先生から「アドミッション・ポリシー」について調べるよう進路指導を受けている影響もあり、認知・活用が高まっていると考えられる。●高校教員が大学に期待するのは「アドミッション・ポリシー」のわかりやすさでは、実際に高校現場ではどのように活用されているのだろうか。高大接続改革の観点から、高校教員に大学・短期大学・文部科学省への期待を問うたところ、1位「わかりやすい入学者受け入れ方針(アドミッション・ポリシー)」44%、2位「寮や奨学金、授業料減免の充実」42%(図表19)であった。図表にはないが、進学校では「主体性等の評価方法の明確化」「英語4技能テスト」が41%で2位となった。入試改革において、学力の3要素の一つ「主体性・多様性・協働性」を大学がどう評価するかが注目を集めており、様々な評価方法が公表され始めている。高校現場からは「大学は自学の「アドミッション・ポリシー」をふまえて、どのような主体性のある学生に入学してほしいのか、またどのように生徒の主体性を評価するのか具体的に提示してほしい」という声が多く聞かれる。実際、大学の「アドミッション・ポリシー」を見ると、まだまだ分かりづらい表現になっているケースも多いように思える。高校生に分かりやすい「アドミッション・ポリシー」の策定、メッセージ発信が今後、重要になってくるのではないだろうか。次ページから、「進路先とのマッチング」を高めるための高校進路指導の新しい取り組みを2校紹介する。共通しているのは「自分は何ができるようになりたいのか」「社会とどう繋がっていきたいのか」について、真剣に自己と向き合っているということだ。進路指導現場の最先端を感じて頂けると思う。フリーコメント【高校教員が大学・短期大学・文部科学省に期待すること】・アドミッション・ポリシーに具体性がなく、差別化されていない。大学選びや学部選びに使うことができない。(東京都/私立)・入試がいかにアドミッション・ポリシーと結びつくものなのか、大学自身が語っていただきたい(愛知県/県立)・大学がそれぞれの「ポリシー=特色」を打ち出し、求める人材を明確にすることは、生徒の学校選びの上でも、また卒業生を受け入れる社会の側からも有効であると考える(神奈川県/県立)・主体性の査定の基準を明確に公表してもらいたい。学力評価が必須になっても、定員割れの私大等では有名無実になるのではないか。生徒にしっかりと勉強してもらいたい現場の思いと相反する(青森県/私立)※高校教育改革調査2018【図表19】高校教員が大学・短期大学・文部科学省に期待すること(複数回答)「アドミッション・ポリシー」と「お金周りの支援充実」がトップわかりやすい入学者受け入れ方針(アドミッション・ポリシー)寮や奨学金、授業料減免の充実調査書等の電子化就職実績の公開卒業時に身につく能力の明確化主体性等の評価方法の明確化わかりやすい学部・学科名称実際の講義・研究に高校生が触れる機会の増加国が実施する英語4技能テスト中退者(率)情報の公開順位12344678910(%)43.842.139.937.437.437.236.734.730.830.5最もスコアの高い項目2〜5番目にスコアの高い項目※上位10項目のみ抜粋調査数1203※高校教育改革調査2018

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