カレッジマネジメント219号
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25リクルート カレッジマネジメント219 / Nov. - Dec. 2019定員厳格化とは、入学定員超過による私立大学等経常費補助金の不交付基準が厳しくなったことである。2016年度から段階的な不交付基準引き下げの結果、都市圏の入学定員充足率は106.2%(2015年度)から103.2%(2018年度)に低下。その他の地域は95.9%から100.8%と充足に転じた。この間、都市圏の定員を超えた入学者数は2.8万人から2万人と約8000人減った(出典:日本私立学校振興・共済事業団)。これらについて文部科学省は「地域による差異はあるものの、全体で見るとこれまでの施策は大都市圏を中心とする定員超過の適正化に一定の効果をもたらした」と見ている。この突然の定員不安が多く聞かれた。大規模大学の合否・追加合格によって入学校決定までの長期化と受験生に精神的・経済的負担が生じている状況をふまえ、2019年度以降1.0倍超えに対するペナルティは見送りとなった。今回の調査対象者は、2019年3月卒業者=定員厳格化条件が一番厳しくなった年の受験者である。彼ら彼女らに何が起こっていたのだろか。志厳格化は高校生にとって混乱を招くことになった。「進路選択の際、困ったことはありますか」と尋ねると、「定員厳格化で倍率が高くて志望校のレベルを下げた」「滑り止めを選ぶのに困った」「模試の判定が信じられない」「入試制度が変わるので浪人はしたくない、第二志望校を受験することにした」(フリーコメント抜粋)など「定員厳格化」「入試制度」に対する【図表20】入試方法別 「最終的な入学校を決めた時期」(大学進学者/単一回答)3月ギリギリまで合格を目指す一般・センター層の増加高1年以前高2年高3年4~10月高3年11~12月高3年1月高3年2月高3年3月無回答一般・センター・計2019年大学進学者2.12.56.12.76.829.344.45.82016年大学進学者2.84.813.14.811.727.329.75.52019-2016-0.7-2.3-7.0-2.1-4.92.014.70.3AO・推薦入試・計2019年大学進学者2.15.045.527.31.65.71.711.02016年大学進学者3.69.056.114.51.82.82.29.92019-2016-1.5-4.0-10.612.8-0.22.9-0.51.1(%)510152025300第一志望校を受験校に決めた 48%第二志望校を受験校に決めた 33%29%26%22%41%(%)高3夏前まで10月以降夏【図表21】第一志望校と第二志望校を受験校に決めるまでの進路行動プロセス(大学進学者全体/累計)約7割が高3の夏以降に第二志望校を受験校に決定している調査数高校入学以前高校1年4月~6月高校1年7月~9月高校1年10月~12月高校1年1月~3月高校2年4月~6月高校2年7月~9月高校2年10月~12月高校2年1月~3月高校3年4月~6月高校3年7月~9月高校3年10月~12月高校3年1月~3月志望順位別第一志望の学校を受験校に決めた時期18892%3%3%1%1%3%7%4%4%20%29%13%9%第二志望の学校を受験校に決めた時期14291%2%2%1%1%2%6%2%3%14%26%24%17%第一志望の学校に関心を持った時期201912%14%8%2%3%7%10%4%5%16%12%4%1%第二志望の学校に関心を持った時期15986%9%6%2%2%6%11%4%4%18%17%10%4%第一志望の学校に資料請求をした時期17771%6%9%2%2%8%14%5%5%20%19%7%2%第二志望の学校に資料請求をした時期13651%5%7%2%2%7%12%4%4%17%24%13%4%特集 進路の意思決定を科学するChapter4定員厳格化の波にのまれた高校生第2志望校の選び方進路選択行動・意識への定員厳格化の影響新学期直前3月まで最終的な入学校が決まらない高校生増加

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