カレッジマネジメント219号
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29リクルート カレッジマネジメント219 / Nov. - Dec. 2019特集 進路の意思決定を科学する──今回調査では、高校生の多くが大学のアドミッション・ポリシー(以下、AP)を認知しているという結果が出ました。高校現場から見て背景としてどのような要因があると思われますか。APの明確化が義務付けられ、大学が学校案内等を通じて明確に打ち出しているので、高校生も認知しているのだと思います。高校教員も、特に総合型選抜への準備を意識し、「なぜその大学を受けるのか」という志望理由を明確化するために、APに注目するよう指導することはあります。とはいえ、各大学のポリシーに明確な差異を感じづらく、生徒達もAPを比較検討したうえで志望校を選ぶというところまでは行っていないでしょう。──また、オープンキャンパス(以下、OC)への参加時期がより早まっていることも今回の調査結果に表れています。大学進学者の場合、2年の秋の選択科目決定時に行きたい大学の受験科目を見据える必要があります。一方、2年生は、部活動等で中心になっており忙しい時期。そのまま進路を考えるタイミングを失わないよう、2年の夏、さらにはその前の春のOCに参加させ、進路検討に向き合わせているのです。また、私学は中高一貫が主流。浪一般受験者の数を獲得するのが厳しい大学では、総合型選抜の割合を増やし、自分の大学に合う学生を早めに確保してから育てるという方針に切り替えてきていると思います。従って年内受験が多くなり、結果として高校の進路指導・勉強の期間が短くなるという傾向が起こっています。本来、3年の9月以降の授業というのは、それまで以上にしっかり取り組ませなければならない、いわば追い込みの時期。一方で、受験生の出願の対応等、教員の事務的な業務も増えます。次年度からは調査書の様式も変わり、量も増え、煩雑になり、現場の教員にとって非常に厳しく負担が大きくなります。また、調査書の電子化の流れもあります。例えば、調査書にしても重視する大学、しない大学が混在していますし、学部や学科ごとに違うというケースもあります。情報を知り得ること自体も難題です。──そういった大学からの情報発信に対して、要望したいこととは?方針を早く明らかにしてほしいということです。英語4技能についても、共通テストの国語の記述についても、どう活用するのか。生徒達には伝えられる範囲で伝えてはいますが、詳細についてまだ触れられない。大きな変革の時期だからこそ、早く明確化することが重要だと思います。人せずに6年間で現役進学を目指させるという方針を打ち出し、早めの進路指導をしています。そういった動きが、前倒し傾向を強めているのかもしれません。特に、現3年生について言えば、入試制度の変更が現役志向に大きく影響しています。予備校等も新入試への不安を助長し、実際に早期の通塾率が例年以上に上がっていると聞きます。さらに、大手大学の定員厳格化の影響で、受験生が「受かるところに受かっておきたい」という志向になっていることも大きいでしょう。──「受かるところに受かっておく」というのは、志望意欲が低い、あるいは十分に検討していない大学に不本意な入学をする可能性がありますね。それを避けるためにも、高校教員が、「どの大学が、どのような学部学科に力を入れているか」といった情報を多く持ったうえで志望校に関するアドバイスできるかが重要となるでしょう。しかし、教員側も多忙を極めており様々な情報を入手しきれない。専門学校や就職希望者もいる進路多様校であれば、なおさら進路指導の対応が難しいというのが実態です。──入試の変化による課題として、どのようなことがありますか?高校生の進路検討の早期化、現役志向の高まりの中で、大学に期待するのは「より早い、明確な方針の提示」今回の調査の特徴的な結果であった「アドミッション・ポリシーへの高校生の認知度の高さ」と「オープンキャンパス参加の早期化」の要因として考えうる高校現場の動きと、現状の進路指導における課題についてうかがった。全国高等学校長協会 会長 萩原 聡氏に聞く現役志向の高まりが早期化に拍車多忙さを極める3年2学期の高校現場
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