カレッジマネジメント219号
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31る。志願者数が最も少なかった2014年を基準に考えれば、2019年の志願者数は3.2倍。2018~2019年の1年間だけでも1.6倍、8635人の増加である。桜美林の歴史を紐解けば、1921年に清水安三が北京郊外に創設した崇貞学園まで遡る。戦後、1946年に桜美林学園として生まれ変わり、47年に中学校、48年に高等学校を開校し、50年に短期大学、66年に大学が開学した。東京都町田市のキャンパスを中心に4つのキャンパス(2020年度からは5キャンパスの予定)で展開する桜美林での学びは、建学の精神「キリスト教精神に基づく国際人の育成」にある通り、グローバルな学びに力点が置かれている。留学派遣は全国7位(朝日新聞出版「大学ランキング2019」)、THE世界大学ランキング日本版2019では国際性の評価が全国38位。ブランド力のある大学群と比べても、決して引けを取らない。加えて注目されるのは、「学部制」から「学群制」への移行を進めてきた点だ。隣接領域の専門分野を括った「学群」のなかで、学生達は、興味・関心のある科目を選択し、自ら学びの形を作り上げるようになっている(図表2)。全国私立大学で初めての試みだが、その検討は1990年代はじめ、大学設置基準大綱化の頃から始まっていた。畑山学長は「興味・関心が所属学部を超えていく学生達の様子を見ていて、幅広い学修を支える仕組みを整えなければいけない、学修の論理を重視したシステムを築かなければならないと考えたわけです」と回顧する。十分な準備期間を経て、まずは2005年に総合文化学群(のちの芸術文化学群)がスタート。続く2006年に健康福祉学群とビジネスマネジメント学群、2007年にリベラルアーツ学群が開設された。2016年にはグローバル・コミュニケーション学群を開設。2020年度には航空・マネジメント学群も誕生する予定である。緩やかな領域の括りのなかで、自由に学びを設計する。そのために用意された学群制だが、導入当初は分かりにくさのほうが目立ったのかもしれない。学群制が導入された2000年代半ばからしばらくの間、志願者数はむしろ減退していた(前掲図表1)。量の問題は、当然ながら質の問題につながる。入学部(アドミッションズオフィス)の高原部長は、課長として入学部に戻った2015年、AO入試の出願書類の一つである自己申告書を読んで愕然としたという。「2000年代半ばにも係長として入学部に所属していたのですが、その頃に読んでいた自己申告書との差に驚きました。内容を伴う自己申告書もあるのですが、いわば二極化とも言えることが起きていたのです」。リクルート カレッジマネジメント219 / Nov. - Dec. 2019学び学び学び学び学び学群学部学部学部学部学部学び学び学び学び学び学群学び学び学び学び学び学群学び学び学び学び学び学群学び学び学び学び学び学群興味関心がある複数の専門分野が学べる自分の「学び」を自らデザインできる学部・学科の独立性が高い他の学部・学科や他分野を学ぶには制約が多い学部制学群制2007年完全移行図表2 桜美林大学の特色(教育システム)特集 進路の意思決定を科学する私立大学で初めて導入した「学群制」入学部の気づきが生んだ「AO・推薦準備セミナー」

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