カレッジマネジメント219号
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34神戸女子大学は、文学部、家政学部、健康福祉学部、看護学部からなり、約3500名の学部生を擁する中規模大学である。神戸市須磨のキャンパスに加えて、ポートアイランド、三宮にもキャンパスをもつ。また、小規模ながら博士課程までの大学院を持ち、短期大学を持つ。もともとは、1940年の神戸新装女学院の設立を起源とし、1950年に短大を開設、その後1966年に4年制大学を開設して現在に至る。洋裁学校から始まったこともあり、短大は服装科のみ、4年制大学は家政学部のみで開設された小規模な教育機関であった。その後、文学部は1969年と早期に設置されるが、健康福祉学部は2006年、看護学部は2015年と、比較的最近の設置である。設置学部の構成から分かるように、管理栄養士、社会福祉士、精神保健福祉士、介護福祉士、看護師、保健師、助産師、教員・保育士等、専門職養成の教育に力を入れており、それを大学のアピールポイントとしている。ただ、これらの専門職のうち、大学の教育課程で資格取得が叶うのは教員と保育士であり、それ以外は全て国家試験に合格しなければ資格取得ができない。誇るべきは、それらの合格率が極めて高く、全国平均を上回っていることである。例えば、2019年3月の卒業生データによれば、社会福祉士は、受験者数50名以上の私立大学で第1位※1に輝き、全国平均29.9%の合格率のところ78.6%の合格率を誇る。また、管理栄養士では、全国平均60.4%のところ96.7%の合格率を出しており、合格者数は全国第7位※2である。管理栄養士についていえば、卒業生のうちのほとんどが受験し(2009年から2018年の10年間の平均で98.5%)、そのうちの90%以上が合格している(10年間の平均93.0%)。教員に関しても、2018年度の卒業生は、公立幼稚園・保育所にのべ41名が合格、公立小学校にのべ59名が合格しており、関西地区でトップレベルにある。就職実績でもう1つ加えるべきことは、就職希望率、就職率(就職希望者のうちの就職者)が、ここ5年に限ってみても上昇を続けていることである(図1)。ここには、上記の専門職資格取得者以外の一般の企業への就職者等も含まれている。また、就職者のうち、正規雇用率は80.7%にのぼり、関西地区の私立大学で3位に位置しているという。これら華々しい就職実績の秘訣は何だろう。一言で言ってしまえば、充実した就職サポートである。国家試験に関しては、管理栄養士養成対策室、社会福祉士国家試験対策室、看護学部国家試験対策室、教職支援センターと、それぞれの試験ごとに対策室を設置し、各試験に見合ったかたちでサポートをしている。管理栄養士養成対策室では、2カ月に1回学内模試を実施し、そのフォローアップを行う。生物、化学の授業では、文系出身者等、理科が不得意な学生にも徹底したサポートを行い、生化学、解剖生理学等の管理栄養士基礎科目の学習につなげている。社会福祉士国家試験対策室では、大学の教育課程とは別に国家試験対策講座を実施し、定期テストの中にはリクルート カレッジマネジメント219 / Nov. - Dec. 2019栗原伸公 学長神戸女子大学CASE2入学前から就職まで一人ひとりを大切にする教育を華々しい就職実績やりたいことを重視する就職サポート

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