カレッジマネジメント219号
35/60

35国家試験を想定した出題をするものもある。教職支援センターでは、面接、課題小論文の添削指導を行い、模擬試験を実施する。これらのいわゆる試験対策は、どこの大学でもそれなりに行われており想定内である。受験勉強とやや異なるのは、管理栄養士養成課程では1年生から将来をイメージする授業があり、看護学部国家試験対策室では1年生から学習支援を行い、担任教員や学習支援アドバイザーを置いて学生の相談に乗っていることだ。それらの職業がどのようなものか、それへの適性はどのようにして磨いていくか、高校を卒業したばかりの1年生では充分な知識を持ち得ていないのが現実だろう。従って、できるだけ早期に、専門職の具体的内容を知り、仕事をする自分の姿をイメージし、モチベーションを高めること、これらのサポートにはそうした意図が込められているように思う。そのことが、結果的に、受験勉強に積極的に取り組むことになり、合格の暁には、専門職として長く働き続けることになるのだろう。もちろん、試験対策以外のサポートも充実している。キャリアサポートセンターでは、まず、3年の10月に学生全員に個別面談を行い、その後の就活の過程においても、各種の相談や面接の練習と、個別のサポートがなされている。驚くべきは、こうしたサポートを可能にするために、就活用に学生の個人データベースを作成し、随時情報を蓄積更新していることである。神戸女子大学は女子大学にしては珍しく、県外出身者が多く半数に上る。主な出身地域は中四国であり、彼女達は、大学は都会への憧れもあって神戸へ出てきたが、そのうちの半数は地元に戻ることを希望する。そうした者への配慮も欠かせない。Uターン就職ガイダンスを開催して各都道府県の就職支援担当者から話を聞く機会を設け、Uターン就職希望者がメリットを得られるよう県外企業や自治体と就職支援協定を締結している。早期の職業意識の醸成という点では、1年生のキャリア授業において、各学科の卒業生を招き、働くことの意味、学生時代の取り組み等について経験談を語ってもらう講演を行っている。卒業生には就活から内定に至るまでの個別具体の事例のレポート提出を求めており、過去10年分の「受験報告書」データとして就活生の心の拠り所となっている。報告書の提出は強制ではないものの、内定者のほとんどが提出しているそうだ。この受験報告書にいかに助けられたか、それを次には後輩に伝えようとする先輩の優しさを見ることができる。こうした就職サポートが、ただ、合格率や内定率を上げるためだけのものではないことを、栗原伸公学長は次のように強調される。「就職は合格や内定の一時のものではありません。自分がやりたい仕事を見つけ、その仕事に意欲を持って長く働けるようにするためなのです。世の中にはどのような仕事があり、自分は何がやりたいのかをなるべく早い時期に見つけることが、重要です。就職できれば良いのではなく、就職後早期に辞めないようにということも含めて個別支援を行っているのです」。個別支援は就職に限定されたものではなく、この大学を貫くモットーであることは、学長のお話の展開からよく分かる。リクルート カレッジマネジメント219 / Nov. - Dec. 2019図1 就職希望率、就職率の推移8090100(%)就職率95.288.581.989.091.490.893.496.898.098.398.2短大大学(年)201520162017201820198090100(%)(年)2015201620172018201994.197.187.598.186.499.288.398.788.9就職希望率特集 進路の意思決定を科学する

元のページ  ../index.html#35

このブックを見る