カレッジマネジメント219号
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45リクルート カレッジマネジメント219 / Nov. - Dec. 2019開しています。2018年新設の看護学部は、長寿社会、高齢化社会にあって、私達が健康に寿命を全うするために、看護職がますます重要になっていくという見地から、国立病院機構水戸医療センターと本学が連携して設置しました。看護学部のキャンパスは、水戸医療センターに隣接する「桜の郷(さと)キャンパス」を拠点とし、水戸医療センターで臨地実習をすることで充実した実習環境で学ぶことができます。さらに、本学の中核である「見和キャンパス」でも、学部共通科目や専門科目の一部を学修します。おかげさまで2019年度入試での志願状況も順調です。地域連携で就職に強い地方大学もう一つの実学教育として、地域連携があります。地域との協働を通して、学生を地域の中で育てて頂こうと、地域連携科目やプロジェクトを多く展開してきました。2008年には「地域連携センター」を開設し、自治体や企業とのコラボレーションや、産学官民連携による寄付講座や連携講座等も運営しています。具体的には、人間科学部の学生による地元那珂湊地区の商店街活性化ワークショップ「TOKIWAまちなかラボ」や、「いばらき地域づくり大学・高専コンソーシアム事業」等が挙げられます。寄付講座としては、地元地銀による地域金融の講義等、総合政策学部のビジネス関係の講座を中心に展開しています。それ以外にも、地元企業の管理職レベルの方や、連携協定を結んでいる10の地方自治体や行政機関の方をゲストスピーカーに招き、地方企業・行政のあり方を語って頂いています。このような日頃のカリキュラムの中での産学官民連携が安定した就職先の確保につながり、本学は一貫して就職に強いことが、地域に根差した大学としての強みです。そうした意味で、地方でキラリと光る大学でありたいと考えています。「グローカル」教育の推進4月から学長に就任して5カ月(取材時)が過ぎました。国連で働いていたという経験から、学長として期待されていることのひとつは本学教育のさらなるグローバル化だと認識しています。ただ着任し、現状を知るにつれ、本学の学生は地元志向が強く、海外で活躍することなどには必ずしも魅力を感じていないことが分りました。しかし一方で、地元の中小企業も積極的に海外展開していますし、茨城は農業県なので、海外から研修生もたくさん受け入れています。現代は、グローバル化によって、東京だけではなくて、地方と世界が繋がる時代なのです。そこで本学では、地元(ローカル)にいながらグローバルな視野を身につけた教養人を育成する「グローカル教育」に注力します。地球規模で物事を考え、ためらわずに外国人とコミュニケーションが取れ、異文化と共生できる知識と姿勢を身につけてほしい。そのために何をするかですが、まずは在学中に1週間でもいいから外国を見てらっしゃいと送り出したいと思います。今でも母校が開講する国連本部での海外研修をお手伝いしているのですが、人種のるつぼ、ニューヨークに1週間も身を置けば、学生の目の輝きが変わってきます。「女性がたくさん活躍している」と驚く学生も少なくない。ですから、本学の学生にも一度はこういう経験をしてもらい、大学時代に眼を開くきっかけを作りたい。そのための国際交流プログラムの拡大や、地球市民教育の推進など、検討を進めているところです。さらに、この9月、「国連アカデミック・インパクト」に本学も正式加盟しました。これは国連が進めるグローバルイシュー10原則に、高等教育機関として取り組むプログラムで、世界で1300ほど、日本でも70近い大学が加盟しています。併せて、SDGs(持続可能な開発目標)の推進にも積極的に取り組みます。本学では、既に地域連携で培った町おこしや環境保護に係る教育研究等の実績があります。こういった活動もSDGsというフレームワークとの関係性をより明確にして、常磐大学は、持続可能な社会の構築のための一員として、積極的に貢献しているというブランディングを進めていきます。

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