カレッジマネジメント220号
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10リクルート カレッジマネジメント220 / Jan. - Feb. 2020期間の一致」については6割以上の大学でそれほど重視されていない。大学規模との関係を検討したところ、関係が見られたのは5項目についてであった(表4)。「毎年度の事業計画での具現化」「計画実施の責任体制の明確化」「検証可能な形での計画立案」「事業の財源や予算措置の明確化」はいずれも大規模大学ほど重視していたが、「計画推進者の任期と計画期間の一致」はむしろ、最も重視していないのが大規模大学であることが分かる。図7で二番目に重視度が高い「計画策定段階での構成員の共有」は規模による違いは見られず、どのような大学でも重要であることが分かる。この8項目の中ではそれほど重視度が高くなかった「計画の重点項目への人員配置」「中期計画と教職員の個人目標の連動」も規模とは関係が見られなかった。7割弱の大学で 何らかの数値目標を設定検証可能な形での計画立案をするうえでは、そもそもの中期計画がどの程度の具体性をもって作成されているのかが重要である。18歳人口の減少がますます進み、経営環境が厳しさを増す中で、経営計画として考えれば、最も基本的な指標は、将来の学生規模に対する考え方であろう。図8には、将来の学生数についての計画の扱いについて示したが、「扱っていない」が39.8%と最も多い。ついで、「扱っている(現状維持計画)」が31.8%、「扱っている(増加計画)」25.0%、「扱っている(減少計画)」3.4%となっている。この設問と、大学の規模、これまでの中期計画の策定回数は特に関係が見られなかったが、大学の定員充足状況とは明確な関係性が見られた(図9)。ここでは、収容定員充足率が95%以上の場合を充足、それ以外を未充足と定義して分析したが、やはり定員未充足の大学では78.3%が、定員充足の大学では50.3%が規模について扱っており、定員割れの大学ほど、将来の学生数について中期計画で扱っている。定員割れの大学の毎年度の事業計画での具現化 *計画実施の責任体制の明確化 **検証可能な形での計画立案 ***事業の財源や予算措置の明確化 *計画推進者の任期と計画期間の一致 ***重視せず・あまり重視せずある程度重視とても重視重視せず・あまり重視せずある程度重視とても重視重視せず・あまり重視せずある程度重視とても重視重視せず・あまり重視せずある程度重視とても重視重視せず・あまり重視せずある程度重視とても重視~2999人5.0%34.2%60.9%10.0%55.6%34.4%10.6%62.1%27.3%10.6%59.6%29.8%58.4%33.5%8.1%3000~9999人2.5%36.3%61.3%6.2%48.1%45.7%8.6%43.2%48.1%18.5%45.7%35.8%67.5%23.8%8.8%10000人以上0.0%4.0%96.0%0.0%20.0%80.0%0.0%12.0%88.0%0.0%48.0%52.0%60.0%36.0%4.0%(注)*** 0.1%水準で有意、** 1%水準で有意、*5%水準で有意。大規模大学は4項目で「とても重視」が最多表4 中期計画を作成・実施するうえで重視する点と大学規模の関係4割の大学が、中期計画の中に学生数について扱っていない図8 計画の中での将来の規模の扱い(N=263)定員未充足の大学ほど学生について中期計画で扱っている図9 定員充足状況別の将来の規模の扱い(N=259)扱っている(縮小計画)扱っている(現状維持計画)扱っている(増加計画)扱っていない39.8%25.0%31.8%3.4%0102030405060708090100扱っている(縮小計画)扱っている(現状維持計画)扱っている(増加計画)扱っていない未充足(95%未満)充足(95%以上)49.7%21.7%26.1%43.5%8.7%24.0%25.7%0.6%数値目標の設定

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