カレッジマネジメント220号
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19リクルート カレッジマネジメント220 / Jan. - Feb. 2020は明確に分離していたので、何がそれを分けるのかを分析してみた。結果は表12に示したが、その内容について解説したい。構成員が計画の実現に向けて努力する4つの要因まずは「①構成員が計画の実現に向けて努力」するようになるかどうかを分ける要因として確認されたのは4つの要因であった。最も大きい要因は、「教職員への中期計画の説明の程度」で、当然のことではあるが、中期計画について十分に説明しているほど、構成員が計画の実現に向けて努力するという関係性が確認できた。2つ目の要因は、「計画と個人の連動」である。計画推進者の任期と計画期間が一致したり、中期計画と教職員の個人目標が連動したり、計画の重点項目への人員措置等、中期計画とトップや教職員の個人目標・仕事との関係が明確に結びついてこそ、構成員が計画の実現に向けて努力するようになっているということである。3つ目の要因は、「数値目標」であり、数値目標が全く設定されていない状況よりも、かなり多くの数値目標が計画と結びついて設定され、個々人の目標や行動と結びつくことで一定の効果があることを示している。4つ目の要因は、「これまで作成した中期計画の回数」で、何度か中期計画を作成・実施していくことで、それが教職員の間にも定着し、その実現に向けて努力するようになることを示している。ただし、3つ目の要因と4つ目の要因の効果はそれほど大きいものではない。ける要因として確認されたのは3つの要因であった。最も影響力が大きいのは、これまでと同じで、「教職員への中期計画の説明の程度」であった。2つ目の要因は、「計画と個人の連動」であった。大学として目指すべき方向性や重点施策が打ち出され、それが教職員の目標と連動することで、より大学として重点課題を推進できるようになっているといえるだろう。3つ目の要因は、充実した「検証プロセス」であった。計画を立てるだけでなく、その進捗管理や進捗状況の報告を行い、原因分析をしっかりすることで、より重要課題を重点的に推進できるようになっている。計画を立てて、うまくいったのであればそれをさらに強化するし、うまくいかなかったのであれば、軌道修正することで、より重要課題を推進できるようになると考えられる。つまり、これらの結果をまとめると(図22)、教職員への説明による共有・浸透は、計画実現に向けた構成員の努力を引き出すうえでも、計画によって大学が発展・好転するうえでも、また重要課題を重点的に推進するうえ中期計画で大学が発展・好転する2つの要因続いて、「②計画によって大学が発展・好転する」ようになったかどうかを分ける要因として確認されたのは2つの要因であった。最も大きい要因は、「教職員への中期計画の説明の程度」であり、大学の発展・好転はトップだけでなく、教職員の理解と協力が不可欠であることを示している。もう1つの要因は、「情報の収集・分析」である。様々な情報を収集し、分析している大学ほど、計画によって大学が発展・好転することを示している。既に述べたが、計画を策定する際に、まずは現状の分析・評価や、将来像をどのように考えるのかが基本にあり、そうしたしっかりとした分析という土台があってこそ、適切な内容の中期計画を策定でき、それが一定の効果に着実につながるものだと考えられる。重要課題を重点的に推進できるようになる3つの要因最後に「③重要課題を重点的に推進できるようになった」かどうかを分図22 中期計画の効果の規定要因教職員への説明による共有・浸透構成員の計画の実現に向けた努力を引き出す大学が発展・好転している重要課題を重点的に推進できるようになる中期計画と個人の目標や行動との結びつけ様々な情報をきちんと収集・分析したうえでの計画検証プロセスの確立要因効果特集 中期計画で実現する大学の未来

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