カレッジマネジメント220号
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20リクルート カレッジマネジメント220 / Jan. - Feb. 2020でも効果的であることが分かった。また、中期計画を個人の目標や行動と結びつけることは、構成員の計画実現に向けた努力を引き出すうえで、また重要課題を重点的に推進するうえで役立つことが分かった。様々な情報をきちんと収集し、分析したうえで計画を立てることは、計画によって大学が発展・好転するうえで、また、しっかりとした検証プロセスを確立することは、重要課題を重点的に推進するうえで効果的であることが分かった、とまとめることができるだろう。規模は効果に影響を与えていないどのサイズの大学でもやり方次第以上では、影響を与えている要因に着目して結果を解説したが、影響がなかった要因についても触れておきたい。大学の規模、中期計画の策定プロセスや作成主体は、中期計画の効果には特に影響を与えていなかった。大学の規模によって、留意しなければならない点やできることに違いがあるが、それぞれの規模に応じた工夫や努力をすることで、規模は効果に影響を与えていない、つまり、どのサイズの大学でもやり方次第といえるだろう。中期計画の大学内での策定プロセスや、そこへの法人の関与の有無等、大学によって、かなり多様な実態があることは既に述べた通りだが、それぞれの大学のガバナンスや慣行等で、どのように中期計画を作るのかは異なっている。今回の結果からいえば、それらは個性のようなものであり、策定プロセスや主体が直接に中期計画の効果につながっていない、ということであった。つまり、「唯一正しい、効果の出る策定プロセス」というものはなさそうだ、ということである。なお、これ以外の説明変数については、今回の分析結果においては特に中期計画の効果に直接的に影響を与えていなかったが、間接的な影響等も考えられ、無意味な工夫・努力ということではないことには留意すべきである。ただ、数値目標については、今回の分析結果を見る限りは、それを設定していなくても、多少設定していても、それほど効果に違いは見られなかった。数値目標は効果的に用いれば、教職員に実態や計画を理解させ、一定の方向性に努力を向ける正の効果もあるが、乱用すれば、必ずしも目標に沿っていない数値目標を無理やり掲げることにもなり、教職員のやり過ごし、やったふりを引き起こし、手間ばかりがかかることにつながる危険性もある。上手な数値目標の立て方や活用の仕方については、さらなる詳しい分析や検討が必要であろう。社会説明のための中期計画という観点をこれまでは成果の上がる中期計画をどう作るか、という観点から、調査結果について見てきた。中期計画は当然のことながら、それぞれの大学の経営や教育研究活動の改善・向上のために行うが、大学の現状や目指すべき姿をステークホルダーに説明し、理解や支援を得るための貴重な機会ともいえる。しかし、現状ではそうした捉え方をしている私立大学はかなり少ない。図23には中期計画の公表・説明の程度を、図24には中期計画の共有・浸透度を、教職員、学生・保護者、社会一般に分けて示した。教職員への説明には熱心な大学が多いが、学生・保護者や社会一般に対しては、教職員に比べ、学生・保護者や社会への公表・説明はあまり進んでいない図23 中期計画の公表・説明の程度教職員に比べ、学生・保護者や社会への浸透はほぼ進んでいない図24 中期計画の共有・浸透度(%)(%)020406080100020406080100社会一般学生・保護者教職員あまり浸透せず社会一般学生・保護者教職員公表していないあまり説明せずある程度説明十分に説明ある程度浸透十分に浸透55.132.425.971.82.40.821.378.059.87.76.16.525.938.828.928.243.522.140.73.80.4中期計画の公表・説明、共有・浸透度
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