カレッジマネジメント220号
28/66
28リクルート カレッジマネジメント220 / Jan. - Feb. 2020検討委員会のもとでの専門部会として、関係する課題について検討し、その結果を提案することと位置付けられている。全体を俯瞰する視点での議論ができる体制、それを実際の担当者が参画してバックアップする事務局体制の2つがあってこそ、事業計画の策定が可能になるのである。もう1つ興味深いのは、計画を策定してもそれはロードマップではないという。瀬野常任理事は、「計画をあまりにも綿密に立ててしまうと、好機があっても計画にないからやめようということになるのです。それは計画に囚われるあまり、せっかくのチャンスを逸することになります。計画になくても良いと判断されることであれば、積極的に実行することが重要と考え、敢えてロードマップは作成しませんでした」と言われる。計画はあっても柔軟に運用、臨機応変に対応ということであるが、別の視点から考えればそれだけ計画の幅があり、かつ、綿密なものとなっているということではないだろうか。担当者を中心に十分に練られた計画であれば、計画として公表されている事態以外のことも予測されているはずだ。万が一、そうした事態が発生したとしても、他の選択肢の可否の判断がなされ当初計画とは異なる最善のルートを採ることができるのであろう。さらに言えば、この事業計画が瀬野常任理事をはじめとする大学のリーダーが牽引したからこそ、当初計画にない好機を捉えるという姿勢を維持できたのであろう。教学と財政の両方に知悉した者が、そのバランスを取りつつリードすることは、学内改革を行うための有効な手法の1つかもしれない。こうしたなかで職員の意識は、本当に大きく変化したと、瀬野常任理事は述懐される。国士舘大学が、もともと文武両道を謳い、取りわけスポーツ振興に力を入れてきたことはよく知られているが、その延長として、現在では防災教育に注力していることはあまり知られていないだろう。前述の通り、国士舘大学の卒業生は公務員になる者が多いが、特に警察や消防等が多い。スポーツによって心身を鍛錬しているからこそであり、「世のため、人のために尽くしうる、有為の人材の養成」というミッションを体現した1つの姿である。さらに緊急を要する場、例えば災害時等を想定したときに、このミッションのもとで心身を鍛えられた学生は、一層「世のため、人のために尽くしうる」人材として活躍できるのではないか、そうしたなかで防災教育の重要性が新たな方向性として見えてきた。具体的には、2000年には体育学部に開設したスポーツ医科学科で、「救急救命士」の受験資格が得られるようカリキュラムを編成し、また、2017年からはどの学部に所属していても、「防災士」の受験資格が得られるようカリキュラムを改革している。加えて、2013年からは、全新入生に対して、「防災総合基礎教育」として、災害に関する基礎知識の習得、心肺蘇生法、応急手当、搬送法、初期消火等の実習を課しており、全学を挙げた防災教育を実施していることが分かる。防災教育への注力の契機になったのは、2011年3月11日の東日本大震災である。当初は2011年4月に防災拠点大学を目指して開設予定であった防災・救急救助総合研究所であるが、厚労省の許可のもと震災直後から救援活動に参加したこともあり、この研究所を拠点として防災リーダーの養成に関する多面的な活動を実施し、それらを総合した「防災図2 第2次中長期事業計画策定組織図各専門部会(検討・提案)第2次中長期事業計画策定委員会(事務局:とりまとめ)国士舘教育総合改革検討委員会(重点的に取り組むべき事業・課題を決定)理事会学部・入試等部会長:学長大学院・附置研究所等部会長:学長中学校・高等学校部会長:校長法人全般部会長:常任理事地域社会貢献部会長:常任理事国士舘第2次中長期事業計画防災リーダー養成教育への注力
元のページ
../index.html#28