カレッジマネジメント220号
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29リクルート カレッジマネジメント220 / Jan. - Feb. 2020リーダー養成学」という学問体系を構築することを目指している。これらは、第1次、第2次の中長期事業計画にも明確に位置付けられ、興味深いことに、第1次中長期事業計画では防災教育の対象が全学生・生徒であったものが、第2次中長期事業計画では教職員までがその対象とされ、取りわけ職員に対しては研修に導入することが記述されている。教職員自らが防災意識を高め、万が一の場合に適切な行動をとれるようになることでもって初めて、全学的な防災教育が可能になると考えられているのである。このように国士舘大学においては、中長期事業計画を作成したことが、大学のミッションを再確認し、財務の安定化、ガバナンス体制の強化といったことにつながった。明文化し、エビデンスを示すことは、大学の進むべき方向性を大学の構成員の多くが共有することにつながるのである。これまでのところ、その方向性は問題ないという判断であり、今後も打ち出した方向を維持していこうと考えられている。大学の規模に関しても、当面はこのままで大規模化することは念頭にないという。周囲の大学が18歳人口の減少期に規模拡大を図ってきたこととは対照的である。このことについて、瀬野常任理事は、次のように考えを披瀝される。「確かに規模拡大をすれば学納金は増えます。しかしながら、規模拡大によって、現状の志願率10倍という数字をどこまで維持できるかは不確かです。志願率が下がれば、来てほしい学生が取れなくなっていきます。それは大学の質を考えたときに望ましい方向ではないと考えるからです」。学生には、国士舘大学が掲げるミッションに共鳴して入学してほしい、そのような思いがにじむ言葉である。「そのためには、国士舘大学の教育を受けることで、将来のキャリア形成ができることを、もっとアピールしていく必要があると考えております」と語られる。そして、それは、これまでに打ち出してきた公務員、特に警察や消防等高い使命感を持つ職業をターゲットにした人材育成であり、その延長に位置付く防災士や救急救命士である。それは大学のミッションに従うものであり、それにもとづき事業計画にも記載された。とすると、中長期事業計画を策定することは何ら特別なことではないことが分かる。ミッションを再確認し、それをもとに教育プログラムを策定し、その実施を可能とする財政基盤を固める。そして、そのような環境で育成される学生が、社会のどのような需要に応え得るものなのかという視点を含みこんで構築することなのである。そう考えることができるのであれば、義務化された中期計画の策定は大したことではない。これまでの経営を、明文化すればよいのである。国士舘大学の事例は、そのことを教えてくれる。(吉田 文 早稲田大学)図3 防災事業概要国を思い、世のため、人のために尽くしうる人材「国士」の養成将来ビジョン(学校法人国士舘中長期事業計画)●人間力と実践力に優れ、社会に貢献できる人材の養成●教育・研究成果を活かした地域・社会貢献活動の推進●防災リーダー養成科目の展開(学内)●防災教育に関する出張講座の実施防災関連(件数)●論文、学会発表、著書(合計245件)防災リーダー防災ファーストレスポンダー防災スペシャリスト主だった論文●小中高等学校生のAED認知度に関する検討●宅地災害に対する強靭なハザードマップのあり方●「みんなで町を守る」という地域社会を創る …など●自助の指導●率先した共助の実行●公助の協力●防災教育のステップアップに対応●初等教育・中等教育の各段階に対応●各種プログラムに対応したテキスト作成●映像教材作成による遠隔地への発信防災リーダー養成教育に関する研究拠点の構築防災・救急救助総合研究所特集 中期計画で実現する大学の未来建学の精神防災リーダーの養成本学における研究成果防災リーダー教育の発信教育プログラムの作成A学生・父母B教育機関C自治体・一般社会連携ステークホルダー将来のキャリア実現の可能性を伝え国士舘のミッションに共鳴する学生募集を
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