カレッジマネジメント220号
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38リクルート カレッジマネジメント220 / Jan. - Feb. 2020Chapter22年前ルールの今─2021年方針公表状況(全体1068校の58.9%)が利用するとしていたが、当面稼働しないこととなった。2023年度までの共通テストにおける英語は2技能を問うものということになる。大学が外部試験を使って4技能を問う場合は、従前通り、受験生から直接証明書類等を受け取り、取り扱う必要がある。現行学習指導要領では英語について、4技能を前提に小中高を通じてコミュニケーション能力育成と言語・文化理解を深める内容を実践しており、新学習指導要領においても当然これをさらに推進する方向性だ。大学でもグローバル対応は必須であるわけだが、外部試験スコアについては基本的に文科省「大学入学英語成績提供システム」の利活用を前提に考える大学が多かった。このシステムの導入が見送られたことで、今後各大学がアドミッション・ポリシー(AP)に基づいて、どのような評価方針を独自に打ち出すかに注目が集まる。なお、11月29日に国立大学協会が一般選抜における英語外部試験の活用について公表し、国立の8割が2021年段階では外部試験を活用しないことが判明した。既に多くの大学で活用されている英語外部資格検定試験だが、50万人規模の共通テストでの運用となると全く勝手が異なる。目的が「ビジネス英語」「留学」等であるため、必ずしも学習指導要領に基づいた出題ではないことは従前より指摘されてきたが、ほかにも、大学入試センターに支払う共通テスト検定料とは別に民間試験の受験料が必要となるのに加え、試験によっては会場に限りがあり、都市部に有利ではないかとの高校側の意見が多いほか、確保された会場に希望者が全員収まるのかも業者によっては示されていない等、残された論点は多い。このタイミングでの方針変換には戸惑いの声も多いが、1年間の再検討で受験生の公平性が確保された形に再設計されることを願ってやまない。そして、記述式問題である。センター試験は全てマークシート方式だが、共通テストではまず数学Ⅰ・IAと国語で記述式問題の導入が決まっていた。数学ではマーク式と混在して数式等を記述する小問が3問出題され、試験時間は現行の60分から70分に延長。国語では現代文にてマーク式と別の大問で出題され、小問は80~120文字程度の記述を含む3問。マーク式の配点には含まれない5段階評価となり、試験時間は現行80分から100分に延長される予定だったが、12月17日に文科省はこの方針を白紙撤回し、新たに設置する検討会議で充実策を議論すると発表した。2021年度入学者選抜について、個別大学の方針はどうなっているのか。文科省は「大学入学者選抜実施要項」第7の3に「個別学力検査及び大学入試センター試験において課す教科・科目の変更等が入学志願者の準備に大きな影響を及ぼす場合には、2年程度前には予告・公表する。その他の変更についても、入学志願者保護の観点から可能な限り早期の周知に努める」と示される、通称「2年前ルール」において、早期の方針検討と公表を促してきた。2019年1月には当時の状況を調査し、1月時点で公表済23.2%、準備中31.0%、検討中31.7%という値も明らかにした。では、現在の状況はどうなっているのか。編集部ではその実態を探るべく、9月末段階での全国の大学の2021年度入試方針の公表状況をリサーチした。その結果、全体の75.2%が何かしらの方針を公表していることが図表3 個別大学入試の2021年度方針公表状況未公表195公表済591私立420公立90国立8105101520253035無回答未定予告に関する検討を開始していない予告の公表について検討中予告を公表する準備をしている予告を公表している(%)31.0%23.2%31.7%7.4%6.3%0.3%参考 1月時点の予告の公表状況(全体) 公表数 全体数 公表率 国立 81 86 94.2% 公立 90 93 96.8% 私立 420 607 69.2% 591 786 75.2%※編集部集計・参考値は2019年1月文科省公表データ7割以上が方針を公表

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