カレッジマネジメント220号
39/66

39リクルート カレッジマネジメント220 / Jan. - Feb. 2020分かった(図表3)。文科省の調査から8カ月で状況はだいぶ変わっているようだ。どの大学も検討の基にしているのは、2017年7月1日に通知され、2018年10月22日に一部改正された「平成33年度(令和3年度)大学入学者選抜実施要項の見直しに係る予告」であろう。そもそもはAPに合う学生を選抜する方式になっているかの検証、加えて学力の3要素評価への転換を問う入学者選抜改革だが、運営を担う現場の検証論点は概ね似通っている。図表6にその概要をまとめた。各論点の判断基準は、最終的には「どの方法が最もAPに合致した志願者獲得になるか」「どの方法を経由した入学生が本学の教育にマッチするか」といったそもそも論に、当然「現実的に運用可能か」という点が加わり、大学ごとの現実解が導かれるようだ。なお、リサーチ段階は共通テストにおける英語4技能導入延期より以前のため、導入前提の論点となっている点はご容赦いただきたい。12の評価ツールと学力の3要素の組み合わせで入試を解説する事例 ①千葉商科大学千葉商科大学(以下、CUC)の公表する2021年度入試方針は明快だ。学力の3要素を測るために必要な12のツール(図表4)を提示したうえで、重視ポイントによりツールの組み合わせが異なる入試を複数設計し、全体として入学者の多様性を確保している。入試ガイドでは、各入試を「12の評価ツールをどう組み合わせるか」「学力の3要素評価の比重」という2つの観点で整理し、概要をつかめるリードとともに紹介している(図表5に例示)。検討に当たっては、まず現状入試を機能的側面で因数分解することから始めた。「良い人材を選抜するのに寄与している要素は何か。入学後の教育効果が最大化される入試設計は何か。それらを中心に『CUCで総合的に評価するとはどういうことか』という観点で入試全体のコンセプトを決めていきました」と入試センター長の出水 淳氏は言う。具体的には、現実的に機能している評価ツールを定め、それが学力の3要素のどれを測るものかを整理し、その最適比重を模索した。有効な要素を1つの入試で全て測るのは無理なので、入試制度全体で多様性を担保するように議論を重ねたという。検討主体は学長直下に置かれた大学入試本部会の諮問機関である入学センター連絡会が中心。最終的には①分かりやすいか ②オペレーションにも受験生にも余計な負荷がかからないか ③キャッチーか という3つの観点から、12の評価ツールに学力の3要素を掛け合わせて入試のバリエーションを決めた。「今までやったことがない方法でいきなり負荷を高めるのは現実的ではない。極力現状を維持して効果を最大化するための方策を探りました」と出水氏は言う。③の「キャッチー」とはまた特徴的だが、出水氏は「やるなら最初でなければ意味がなく、それが社会にきちんと伝わらなければまた意味がない。偏差値序列に拘わらず本学の価値を打ち出すチャンスとしても高大接続改革を捉えています」と続ける。CUCは「CUCアライアンス企業」制度で知られる。「企業と大学が連携して、社会に貢献できる人材を送り出す趣旨に賛同し、CUC学生の採用や育成に積極的な企業」のことで、現在820社ものネットワークを持つ。大学と企業が連携して学生を育成するその趣旨からしても、社会ニーズや企業人材に求められる資質能力への考察は深い。具体的に想定しているのは中小企業の中核人材だ。「中小企業は大企業に比べて横断的にマルチに多彩な業務を行うケースが多い。自律的に業務を設計する力、対応力やコミュニケーション能力、多分野への興味・関心が大事です。本学はそうした観点で学部・学科を展開しており、学び方はアクティブラーニングやPBLが中心。全て社会を見据えての設計なのです」。社会の目で見て違和感のない設計かを注意しながら、CUCらしい入試でCUCが育てたい学生を獲得したいという。多様な社会ニーズが教育の実践性に結びつき、それが入試設計へ一貫して繋がっているのである。図表4 CUC 12の評価ツール図表5 CUC入試説明例(総合型選抜9月期 プレゼンテーション型)学力試験面接推薦書小論文適性試験記述総合試験プレゼンテーション調査書資格・検定共通テスト課外活動志望動機書・修学計画書適性試験プレゼンテーション調査書志望動機書・修学計画書テーマ、課題について表現。出願理由、高校の活動実績についても表現する。評定平均、出欠状況、活動実績、資格取得等を得点化する。タブレットPCを使った基礎学力検査(CBT)を実施予定。主題となるテーマや課題をもとに、アイデアや意見を相手に伝える力=②「思考力・判断力・表現力」を求めます。また、テーマを自由に設定できる場合は、課題を探して、主体的に調べること=③「主体性・多様性・協働性」も求められます。合計で1000字程度。出願理由、入学後に学びたいことを表現する。ポートフォリオ: 探究の授業やボランティア等の主体的活動を中心に、 ポリシーに応じてエビデンス(確認資料)として利用。❸❷❶学力の3要素評価のバランス総合型選抜9月期 プレゼンテーション型(給費生選抜)出願要件:評定平均 ※一次選考(書類審査)を実施する可能性があります。評価ツール入学者選抜改革の今

元のページ  ../index.html#39

このブックを見る