カレッジマネジメント220号
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41リクルート カレッジマネジメント220 / Jan. - Feb. 2020評価を行い、子供たちの資質・能力がどのように伸びているかを、例えば、日々の記録やポートフォリオなどを通じて、子供たち自身が把握できるようにしていくことも考えられる」とある。これが「プロセス評価」と呼ばれるものだ。高校現場においては多面的指導・評価を行う素地となるものであり、生徒の主体性を伸ばすのに有効な手段とされているが、そもそも入試での活用を前提とはしていない。しかし、文科省の大学入学者選抜改革推進委託事業(主体性等分野)において設計・立ち上げを行った「JAPAN e-Portfolio」をはじめ、高校の学びの履歴を蓄積する機能と、それをウェブ出願時にデータ移管する機能を併せ持つサービス等、入試における主体性評価にeポートフォリオを有効活用できるのではという議論がある。今回書式が大幅に変更される調査書の電子化(2022年度からを予定)と合わせてプロセス評価の観点がどのように入試に盛り込まれるのか、引き続き注目される。学力上位層とボーダーライン層を分けて主体性を判定する事例 ②昭和女子大学昭和女子大学(以下、昭和女子)では、2021年度に一般選抜で行う主体性等評価の具体的方策を公表した。まず合格予定者数の上位95%までの受験生を成績上位層、上位95~105%の層をボーダーライン層として分け、前者は合格とし、後者について主体性等による評価を行う。この明快な区分について、アドミッション部長の藤島喜嗣教授は「本学はまず学力を重視します」と言う。昭和女子が近年注力するグローバル教育とプロジェクト学習において、基礎学力は重要な素地であるのがその理由だ。「もし学力が高い学生ほど主体性が高いのであれば、学力評価に集約することもできるでしょう。しかし実際は必ずしもそうではないので、主体性等評価と学力評価は分けて扱います」と藤島教授は続ける。なお、改革全体像は図表7に整理した通り。赤字部分を追加するのが2021年度入試改革全体の趣旨である。グローバル教育については、2012~2016年度まで受託した文部科学省の「経済社会の発展を牽引するグローバル人材育成支援(タイプB)」事業において全学的なグローバル化推進が高く評価され、事後評価結果「S」を獲得した。また、1988年より全寮制の海外キャンパス「昭和ボストン」を持つほか、2013年設立のグローバルビジネス学部設立以降グローバル分野で連続して新増設・改組を行い、多様な教育プログラムを展開している。2019年9月にはテンプル大学ジャパンキャンパスが昭和女子の敷地内新校舎に移転し、スーパーグローバルキャンパスが開設したばかり。教育の相互協力が期待されるが、テンプル大学は科目等履修でもTOEIC®600程度のスコアは必要になる。レベルの高い教育を受けるにはより高い語学力が必要な環境が整いつつあるのだ。次にプロジェクト学習とは、企業や地域と共に課題に取り組み、知識の応用力を身につける活動である。企業からのオーダーや学生によるプロジェクト等内容は多彩だが、こうした活動は概ね知識の応用や横断的活用を志向するものであるため、基盤となる知識≒学力を身につけているほうが成果が上がる傾向があるという。また、積極的にチャレンジする気質を備えた学生がいることでチーム協働は格段に進みやすくなる。学力を担保しつつも主体性を評価する理由は、入学後の教育にあるのである。「本学で必要な主体性とは、『チャレンジしてみる』ことを厭わない気質、チャレンジ耐性とも言えるものです」(藤島教授)。プロジェクト学習のようなチーム協働の場が多い昭和女子にとって、そうした人材確保は必要命題なのである。主体性等評価を“しなければならないこと”とただ取り組むのではなく、「本学の教育にとって必要な主体性は何か」という視点で議論することが肝要なようだ。教育に紐づけて何を評価するのかが決まらなければ、当然どう評価するかは決められない。昭和女子の事例からはそうしたメッセージが端的に読み取れる。AO入試(総合型)推薦入試(学校推薦型)一般入試(一般選抜)センター型(共通テスト)選抜方法出願書類課題小論文適性テスト面接(試問)プレゼン出願書類課題小論文適性テスト面接(試問)試験得点 2教科 3教科共通テスト得点 2教科 3教科知識・技能○○◎◎自主・自立◎◎○協働・調和◎◎○図表7 昭和女子 2021年度入試制度の変更点(赤字が主な変更点)入学者選抜改革の今
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