カレッジマネジメント220号
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44リクルート カレッジマネジメント220 / Jan. - Feb. 2020地域貢献人材育成入試を経て探究心を問う新入試へ事例 ⑤島根大学島根大学(以下、島大)は2016年度から地域貢献人材育成入試及びCOC人材育成コースを導入し、入試と教育で一貫した人材を育成してきた(小誌197号掲載)。2019年学校基本調査速報値によると、島根県は県内18歳人口6454名に対して、大学は島大と島根県立大学の2校という高等教育の過疎地域であり、18歳の84.3%が進学時点で県外に流出する。そうしたなかで育成入試は導入から4年が経過し、図表11に示す通り、志願倍率は3.0倍前後。今年度初めて卒業生を出すが、COC人材育成コースの学生は概ね地元就職を志向して活動しているという。島大は「課題解決型教育(PBL)による地域協創型人材養成」を掲げ、入試の制度設計と教育プログラムの設計に取り組んだ。COC人材育成コースは、各学部の学生から構成される。武田信明副学長は言う。「本学が直面する地域課題は特定の解がない複合的なもの。それらに挑む人材を育成したいので、多様性の中で育つコースと志のある人を求める入試を作ったのです」。また、地域に対する自分なりの課題感や意欲がなければ自律的な動きは期待しづらい。そこで、「地域への思い」を持つ多様な人材を一定数確保し、協働して学ぶ経験を積ませたいと考えた。しかし、その軸となる「思い」は高校生の頭の中には漠然とあっても、アウトプットできる形になっていないことが多い。そこで、島大の教職員と対話しながら自分の思いを掘り下げる場として「地域貢献人材育成入試面談会」を年間十数回実施している。「高校までの学習内容や意欲と大学教育を接続する場であり、地域貢献人材育成入試とのマッチングを図る機会で、本学の重要な高大接続事業の1つです。地域貢献人材育成入試を受験しない生徒も参加できます」と、教育・学生支援機構の美濃地 裕子准教授は言う。島根県は「地域の拠点たる学校を地域が協力して支える」という考えのもと、高校の魅力化に積極的に取り組んでいる。県外生徒を受け入れて地域に根差した教育を提供する「しまね留学」等独自の取り組みもあるが、通常授業でも探究学習や総合的な学習の時間で地域課題に向き合う機会が多い。当然、島大にもこうした学びの接続への期待が多く寄せられ、それに応える形で、島大では前述の面談会のみならず、これまでにも多くの接続事業を実施してきた。そうした経験を踏まえ、現在島大が求めるのは「学びのタネ」(特定の領域・事象に対する強い好奇心や探究心)を持った入学者だ。2021年度からは総合型選抜「へるん入試」を実施する。大学入学共通テストは課さず、書類審査や面接、読解・表現力試験等で、受験生の「学びのタネ」やこれまでの取り組みを多面的に評価するという。図表11 島大地域貢献人材育成入試実施状況 (医学部を除く)学部学科・課程等平成28年度平成29年度平成30年度平成31年度募集人員志願者数志願倍率募集人員志願者数志願倍率募集人員志願者数志願倍率募集人員志願者数志願倍率法文学部591.85173.45173.45142.8教育学部学校教育課程Ⅰ類7476.77375.37233.37233.3人間科学部5163.2530.65102.0総合理工学部6101.7791.37121.77131.9生物資源科学部6172.86132.2681.36203.3計24833.530923.130632.130802.7※法文学部の平成28年度入試は社会文化学科のみの募集※総合理工学部の平成28年度入試の募集人員は6名※大学より提供
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