カレッジマネジメント220号
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52リクルート カレッジマネジメント220 / Jan. - Feb. 2020大学は、最終学歴となるような「学びのゴール」であると同時に、「働くことのスタート」としての役割を求められ、変革を迫られている。キャリア教育、PBL・アクティブラーニングといった座学にとどまらない授業法、地域社会・産業社会、あるいは高校教育との連携・協働と、近年話題になっている大学改革の多くが、この文脈にあると言えるだろう。この連載では、この「学ぶと働くをつなぐ」大学の位置づけに注目しながら、学長及び改革のキーパーソンへのインタビューを展開していく。各大学が活動の方向性を模索する中、様々な取り組み事例を積極的に紹介していきたい。今回は、名古屋商科大学が2016年度にスタートさせた、学部版MBAであるBachelor of Business Administration (以下BBA)の取り組みについて、栗本博行理事長にお話をうかがった。名古屋商科大学(以下、名商大)の開学は1953年。栗本博行理事長は、「戦後、経済活動に必要な人材をアジアに、特に日本に育成するべく商科大学としましたので、商学以外のことはしません。関連した領域を扱う改組はありますが、例えば法学部や工学部の設置を考えたことはありませんし、今後も絶対ありません」と言う。そんな名商大が修士(経営学)の学位を与える大学院を始めたのが1990年。そこから約10年は、大学院教育とは何か、ビジネス教育を社会人に対してどう提供するかを模索するフェーズだったと栗本理事長は話す。「ビジネススクールを名乗り始めたのは、1年制大学院を開設した2000年。国際的に通用するビジネススクール、リーダー教育を目指すフェーズに入り、2006年にAACSB、2009年にAMBAと、2つの国際認証を取得しました」。マネジメント教育の主な国際的認証団体は、アメリカのAACSB、イギリスのAMBA、EUのEQUISの3つがある。全ての認証を持つ「トリプルクラウン」は、世界に50ほどあるが、日本にはゼロだ。AACSBには、現在名商大のほか、慶應義塾大学大学院、APU(立命館アジア太平洋大学)、国際大学と計4校のみが日本で認証を受けている。「日本ではビジネススクールというと社会人向けの大学院を指すことが多いですが、海外では学部のマネジメント教育を含むのが常識です。本学は日本では初めて、学部も含めて認証を取得しました」。認証団体のフィードバックを受けながら、国際基準のビジネススクール教育を実践し、AACSB認証から10年目の2016年、MBA:Master of Business Administrationのバチェラー(学士)版、BBA :Bachelor of Business Administrationをスタートさせた。学部教育に展開されるのは、大学院開設の1990年から数えて約25年の積み重ねということになる。名商大BBAの最大の特徴は、4年間の全科目・全授業がアクティブラーニング形式ということだ。「MBA式の参加型の経営学教育をマーケティング科目でやるだけなら簡単です。でも1年生の教養科目から始まって4年間、全部アクティブラーニングとなると、とても難しくなります」と栗本理事長は言い、教員はハーバードビジネススクールでケースメソッド23名古屋商科大学国際基準のMBA教育を学部にも展開、少人数でリーダーを育成栗本博行 理事長経営学の国際認証を取得4年間全ての授業がアクティブラーニング

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