カレッジマネジメント220号
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65リクルート カレッジマネジメント220 / Jan. - Feb. 2020書を自由に利用できる。日常の中で学生の知的好奇心を触発し、学習行動を促す仕掛けとなっている。中・高の校舎「スマートパレット」も、生徒の個性を引き出す教育の実現を目指し、教室を隔てる壁を可動式にしたり、全フロアに図書を配置。効果的な探究学習を実現している。同学院理事長の川原俊明氏は、「この新キャンパス開設には、2012年に実施したガバナンス改革の成功が背景にある。理事会と教授会がうまくかみ合い、良い大学運営が実施できている。経営の意思決定も早く、改革を前に進めようという機運が高まっている」と話す。さらに今後については、1万人規模の大学を目指し量的拡充を図りながら、教育の質を高める戦略を立案・推進し、選ばれる大学を目指すという。「新キャンパス設立は、教育を次の新たなステージへと昇華させていく契機。教育も経営も、従来の既定路線の上には次の未来はないと考えている。既に、新しい先端分野の学部新設に向けて始動している。理系や大学院の教育研究の充実や、リカレント教育、留学生の獲得強化等グローバル化の展開も視野に入れた、次の長期計画もまもなく打ち出す。教育の質保証をさらに図り、先行き不透明な未来を開拓していくイノベーティブな力を持つ人材を追手門から生み出したい」(川原氏)経営的にもイノベーションを行い、教育においてもイノベーション人材の育成を目指す大学。その次なる改革に注目したい。(文/金剛寺千鶴子)アークの1階中央部のWILホールは、約250席を配し、あらゆる学部の学生達が交流して互いに学び合うことを可能にするラーニングスペース。朝は1時限目が始まる1時間前から多くの学生が集まって活気づき、資格試験対策が大詰めの時期には、夜11時近くまで合格を目指して勉強に取り組んでいるという。WILホールを囲むように設置される4つのWILスタジオは、英語学習や地域課題解決のPBL学習等の学修目的を、自由な討議や講義によって実現するための場所である。さらに、「ディスカバリープロムナード」と称された2階〜4階の廊下部分の書籍棚には約4万冊の図書が並び、建物の中心部に当たる3階〜3.5階の図書館には約10万冊の蔵書を有する。また電子書籍システムも導入しデジタル図中高棟「スマートパレット」。中高大がワンキャンパスにあることで、教員や学生・生徒の交流等が身近に。1階に4つあるスタジオのうちのひとつ「グローバルスタジオ」。国際教養学部の先生がプロジェクトに使ったり、常駐する英語のネイティブ教員によるプログラムを提供する施設「E-CO(English Café at Otemon)」を実施する。この他、地域創造学部が主に活用する「PBLスタジオ」ほか、1階には4つのスタジオがある。廊下部分「ディスカバリープロムナード」。壁に沿って作られた書棚にズラリと書籍や雑誌、卒業生が制作した作品等が並ぶ。電源完備の学びのスペースでもある。学食「追手門食堂」。併設校の生徒も利用する。
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