カレッジマネジメント221号
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11Judgement)」であることを強調している点にある。さらに、学位プログラムを担当する大学教員の連携("From my course, to our program")を呼びかけている点にある。九州大学においてこうした教学マネジメント枠組みに関する議論を深めることが可能になった背景として、①学位プログラムの学修目標と授業科目の到達目標を紐づけること、及び②学位プログラムを構成する授業科目の体系性を確保することの重要性について、平成30年度までに、既に緩やかな共通理解が形成されていた点を指摘しておきたい。平成12年度に全国に先駆けて教育組織と研究組織を分離(「学府・研究院制度」を導入)したことで、組織の論理ではなく教育の目的に即して教育課程を編成する「学位プログラム」の考え方が定着していたこと、平成23年度から段階的に取り組まれた3ポリシー策定の作業に先立って、平成22年度には学位プログラムの単位を確認する全学的作業が行われたこと、平成26年度には授業科目の水準や排列を整理する科目ナンバリングの作業も実施されたことによって、学修者本位の教育に転換する素地が、既にかなりの程度形成されてきたとみることができる。九州大学教学マネジメント枠組みの基盤の上に構築した3ポリシー見直し方針は、上述の①②を実質化することに主眼を置いている。九州大学カリキュラム・マップは、学修目標と授業科目の関係性に焦点をあてて、この3ポリシー見通し方針に通底する考え方を図解したものである(図2)。九州大学カリキュラム・マップは、従来型のカリキュラム・マップとカリキュラム・ツリーのハイブリッドである。従来型のカリキュラム・マップは、一般的に、学位プログラムの学修目標と授業科目の到達目標の対応関係を縦横の行列表(マトリックス)で整理したものであり、カリキュラム・ツリー(履修系統図・コースツリー)は、一般的に、授業科目間の関係性や排列を流れ図(フローチャート)として整理したものである。両要素を一枚の図に同時に描くことで、九州大学カリキュラム・マップは、《学修目標の構造》《学位プログラムの学修目標と授業科目の到達目標の関係性》《授業科目間の関係性》を整理し、カリキュラム全体の構造をより総合的に俯瞰できるようにすることを狙っている。学位プログラムの学修目標について、その水準の適切性を説明する根拠となる参照基準との対応関係を確認したうえで、「(改訂版)教育目標の分類学(Taxonomy of Educational Objectives)」の枠組みに基づいて、区分と排列を整えた。「教育目標の分類学」とは、教育課程の編成と評価の指針となる教育目標を分類して定義するための理論的枠組みである。ブルーム・タキソノミー(1956年)の改訂版(2001年)では、知識次元と認知過程次元を区別し、両次元を構成するカテゴリーが複合性の原理に基づいて高度化する順に排列されている(知識次元:事実的知識、概念的知識、手続的知識、メタ認知的知識;認知過程次元:記憶する、理解する、適用する、分析する、評価する、創造する)。そして、二次元が交差するカテゴリーの組み合せとして、教育目標を定義する方法が提唱されている。九州大学では、この考え方に則り、基幹(一般)教育で注力する学修目標「A. 主体的な学び・協働」を設定したうえで、学リクルート カレッジマネジメント221 / Mar. - Apr. 2020授業科目の設計・実践・評価・改善学位プログラムの設計・評価・改善学位プログラム評価学位プログラムの履修を通して学修目標は達成(学修成果)されたか授業科目の評価授業科目の履修を通して到達目標は達成(学習成果)されたか学位プログラム設計学修目標を達成させるための教育課程編成授業科目の設計到達目標を達成させるための授業計画授業科目の到達目標への具体化授業科目の教育内容に対応学位プログラムの学修目標の定義参照基準に基づくアセスメントプラン学修目標達成度調査ステークホルダー調査ディプロマ・ポリシ-カリキュラム・ポリシー成績評価の分布大学教員による自己評価学生による授業評価同僚評価シラバスルーブリック学位プログラムの学修目標と授業科目の到達目標の紐付け学修目標の達成度(学修成果)・到達目標の達成度(学習成果)を適切に評価する学位プログラムの改善授業科目の改善エキスパート・ジャッジメント九州大学カリキュラム・マップによる学修目標と授業科目の関係性の可視化《学修目標の構造》図1 九州大学教学マネジメント枠組み特集 教学マネジメント
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