カレッジマネジメント221号
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12リクルート カレッジマネジメント221 / Mar. - Apr. 2020問分野の知識やものの考え方(知識次元)をいかに操作できるようになるか(認知過程次元)という観点から、「B. 知識・理解の修得(記憶・理解)」、「C-1. 知識・理解の活用(適用・分析)」、「C-2. 新しい知見の創出(評価・創造)」の区分を設定し、さらに学問分野の社会的意義に着目して「D. 知識・理解の実践的場面での活用」の区分を立てることとした。それまで「A. 知識・理解」「B-1. 専門的能力」「B-2. 汎用的能力」「C. 態度・志向性」に区分されていた学修目標を、大幅に組み替え、複合性の原理に基づいて排列(図2の下から上へ)することで、学年進行に伴って(図2の左から右へ)授業科目の水準が高まる(図2の左下から右上へ)実態を可視化することができた。そのなかで、基幹教育を通して「A. 主体的な学び・協働」に注力していることに加えて、研究大学として「C-2. 新しい知見の創出(評価・創造)」に特に重点を置いている、九州大学の教育の特徴を可視化することができた。さらに、カリキュラムの時期区分ごとに、授業科目のまとまりを確保することができるようになったため、各区分の終盤に実施する学修目標達成度調査に基づいて、改善方策の検討対象とすべき授業科目を同定することも可能になった。学位プログラムを構成する授業科目は、その一つひとつが、学位プログラムの学修目標の達成に向けて相互補完的に、固有の役割を担っている。この仕組みを可視化することで、大学教員は、学位プログラムの学修目標と授業科目の到達目標を紐づけることの重要性、授業科目間の体系性を確保することの重要性を再確認する契機を得る。九州大学カリキュラム・マップは、《学位プログラムの学修目標と授業科目の到達目標の関係性》と《授業科目間の関係性》を同時に明示することで、学修者本位の教育への意識転換を、大学教員個人・集団の両レベルで達成することを狙いとしている。学位プログラムの学修目標は、知識の範囲や水準が異なる複数の授業科目に適用可能でなければならないため、一定の抽象性をもって記述されている。それを各授業科目の教育内容に対応した到達目標として具体化するためには、個々の大学教員が学問的専門性に裏づけられた判断力(エキスパート・ジャッジメント)を備えている必要がある。また、授業科目間の体系性を確保するためには、教員集団内で学位プログラムの学修目標に関する共通理解が具体的なレベルで達成されていることが前提となる。しかしながら、「経済協力開発機構による高等教育における学習成果調査(OECD-AHELO)」事業の経験から明らかになったように、日本を含むどの参加国でも、大学教員がこのエキスパート・ジャッジメントを職能として組織的に備えている実態はなく、それを涵養するためには集中的な研修が必要である。このことは、教学マネジメントの実質D. 知識・理解の実践的 場面での活用C-2. 新しい知見の創出C-1. 知識・理解の応用B. 知識・理解の修得A.主体的な学び・協働1年生学修目標2年生3年生4年生修士博士出典 Anderson, L.W. & Krathwohl, D.R. eds. 2001学修目標達成度調査⑤学修目標達成度調査④学修目標達成度調査③学修目標達成度調査②学修目標達成度調査①授業科目A授業科目B教育課程の区分学修目標と授業科目の紐づけ参照基準に基づいて学修目標の妥当性を説明学修目標の構造化授業科目間の関係性の整理専門科目専門科目専門科目導入・基礎期発展期統合期展開期基幹教育科目学科教務委員会機関別内部質保証組織授業科目C《学位プログラムの学修目標と授業科目の到達目標の関係性》及び《授業科目間の関係性》図2 九州大学カリキュラム・マップ
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