カレッジマネジメント221号
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18リクルート カレッジマネジメント221 / Mar. - Apr. 2020 「卒業認定・学位授与の方針」に定められた学修目標を達成する観点からは、「卒業認定・学位授与の方針」に示される「何を学び、身につけることができるのか」から出発して、必要な授業科目を開設し、体系的に教育課程を編成することが必要である。体系的な教育課程を編成する際には、同方針に定められた学修目標の達成という観点を常に念頭に置きつつ、①個々の授業科目について、教育課程全体の中での分担や授業内容を検討すること②例えば「カリキュラムマップ」の作成等を通じて、必要な授業科目が過不足なく設定されているかを検証し、必修科目とそれ以外の授業科目を分類すること③例えば「カリキュラムツリー」の作成等を通じて、各授業科目相互の関係や、学位取得に至るまでの履修順序や履修要件を検証すること等が必要である。加えて、密度の濃い主体的な学修を可能とする前提として、授業科目の精選・統合のみならず、学生が同時に履修する授業科目数の絞り込みに向けた検討に早急に着手することが求められる。シラバスについては、個々の授業科目について学生と教員との共通理解を図るうえで極めて重要な存在であり、成績評価の基点となるものであることも踏まえ、授業科目の目的と到達目標、同方針に定められた学修目標と授業科目の到達目標の関係、授業科目の内容と方法、授業科目の計画、成績評価基準、事前学修と事後学修の内容等適切な項目を盛り込む必要がある。「学修者本位の教育」の観点から、一人ひとりの学生が自らの学修成果として身につけた資質・能力を自覚できるようにすることが重要である。また、大学の教育活動を学修目標に即して適切に評価し、「卒業認定・学位授与の方針」の見直しを含む教育改善につなげるためにも、学修成果・教育成果を適切に把握・可視化する必要がある。さらに、把握・可視化を適切に行ううえでの前提として、成績評価の信頼性を確保する必要がある。大学全体で厳格な成績評価を行うとともに、成績評価に関する全学的な基準の策定・公表や、授業科目における到達目標の達成水準との関係の公表等が強く期待される。把握・可視化に当たっては、全ての成果を網羅的に把握することはできない、把握した成果の全てが必ずしも可視化で(1)学修成果・教育成果に関する情報の例(2)学修成果・教育成果を保証する条件に関する情報の例「卒業認定・学位授与の方針」に定められた学修目標の達成状況を明らかにするための学修成果・教育成果に関する情報の例としては、(1)のようなものがあげられる。情報公表の対象として考えられる情報の例としては、(1)に関する全体的な情報に加え、これらを保証する条件に関するものとして(2)のようなものがあげられる。学修成果の把握・可視化、情報公表の対象となりうる情報の例Ⅱ 授業科目・教育課程の編成・実施Ⅲ 学修成果・教育成果の把握・可視化○各授業科目における到達目標の達成状況○学位の取得状況○学生の成長実感・満足度○進路の決定状況等の卒業後の状況(進学率や就職率等)○修業年限期間内に卒業する学生の割合、留年率、中途退学率○学修時間○「卒業認定・学位授与の方針」に定められた特定の資質・能力の修得状況を直接的に評価することができる授業科目における到達目標の達成状況○卒業論文・卒業研究の水準○アセスメントテストの結果○語学力検定等の学外試験のスコア○資格取得や受賞、表彰歴等の状況○卒業生に対する評価○卒業生からの評価○入学者選抜の状況○教員一人あたりの学生数○学事暦の柔軟化の状況○履修単位の登録上限設定の状況○授業の方法や内容・授業計画(シラバスの内容)○早期卒業や大学院への飛び入学の状況○FD・SDの実施状況○GPAの活用状況○カリキュラムマップ、カリキュラムツリー等の活用状況○ナンバリングの実施状況○教員の業績評価の状況○教学IRの整備状況①大学の教育活動に伴う基本的な情報であって全ての大学において収集可能と考えられるもの②教学マネジメントを確立する上で各大学の判断の下で収集することが想定される情報

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