カレッジマネジメント221号
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20産業能率大学(以下、産能大)は、1925年にマネジメント研究の先駆者である上野陽一により創設された日本産業能率研究所を母体とし、以来、即戦力となるプロフェッショナル人材の育成を通じ、産業界の発展に貢献し続けてきた。「自ら実践する」「他者の実践を助ける、指導する」「組織の実践を促す、主導する」ことのできる人材を育成すべく、経営学部(経営学科・マーケティング学科)、情報マネジメント学部(現代マネジメント学科)のほか、通信教育課程も充実させている。特徴の一つとして、全ての学生に対して知識の定着と活用を第一に考え、「学生が自ら考え、行動できる」仕組みを作る「学生主体の教育体制」がある。学生一人ひとりが大学生活を経て、社会に出た時に自ら力強く生きていけるよう、主体性と能動性を育む実践的な学びを提供する教育体制を長きにわたって整えている。近年は、アクティブ・ラーニング等の教育方法のより効果的な活用や学生の学習支援を促進し、全学的なFD活動や教育研究も積極的に推し進めている。2014年には「大学教育再生加速プログラム(以降、APプログラム)」のテーマⅠ(アクティブ・ラーニング)・Ⅱ(学修成果の可視化)複合型に採択され(全国の国公私立大学等から250件の申請の内46件が採択)、中間評価でS評価を獲得する等、きわめて高い評価を得ている。これらの取り組みを導入した背景や経緯等について、浦野哲夫学長、杉田一真学長補佐(教育支援センター長・経営学部准教授)にお話をうかがった。先に述べたように、創立以来、産能大は学生の主体性と能動性を育むような実践的な学びに尽力してきた。こうした既存の取り組みを基盤としながらさらに発展させるために、APプログラムのテーマⅠ・Ⅱ複合型に「授業内スタッツデータ及び学生の学習行動データに基づく深い学びと学修成果を伴った教育の実現」をテーマとして申請し、採択されている。その概要は、教育支援センターの新設や学習支援センターの機能強化により、授業における教員と学生のパフォーマンス(学生の発言数、教員と学生の対話数、事前課題に対するフィードバック時間等)を測定したスタッツデータ、授業外の学習時間等の学生の学習行動データ、及び知識・技能・態度の3側面から把握した学修成果の分析に基づき、教育方法や事前・事後課題の質量等の改善を図り、深い学びと学修成果を伴った教育の実現に取り組むものである(図表1参照)。具体的には、(1)教育方法の改善 (2)教育プログラムの改善 (3)学習支援の強化 (4)学修成果の多面的把握 (5)高大接続の強化 (6)事業成果の三方発信を行う。実施に当たっては、通信教育部門の学修成果の評価方法や提携先である湘南ベルマーレのデータ測定・分析ノウハウ等、産能大の全てのリソース(ALL産能)を投入して成果を最大化し、大学教育における先導的事例を創出することを目指している。こうした取り組みを導入するに至った背景には、「学生のバラつきが顕著に見られ、講義一辺倒の授業ではだめリクルート カレッジマネジメント221 / Mar. - Apr. 2020浦野哲夫 学長杉田一真 学長補佐教授行動・学習行動・学修成果の相互検証による教育の質保証産業能率大学C A S E1既存の取り組みを基盤としたAPプログラムの導入

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