カレッジマネジメント221号
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23リクルート カレッジマネジメント221 / Mar. - Apr. 2020ている。複数開講している基礎ゼミ等では、担当者会議にて改善策を検討しているという。このシステムを導入して6年目になる現在、7~8割の学生が入力をしており、少なからずの学生にはこうした取り組みが習慣化しているようだ。学生の授業外学習時間も、2014年度の8.5時間(平均)から2018年度の16.7時間(平均)へとおよそ2倍に伸びている。こうした「厳しい」学習スタイルは、高校生等にも「良い形で」伝わっている。2014年度には4,713名であった入学志願者は、2019年度には8,923名へと約2倍に増加しただけでなく、自己成長の必要性についてある種の覚悟を決めた学生が入学するようになったという。とはいえ、全ての学生が積極的に授業外学習をし、その状況を入力しているわけではないため、大学側のサポート体制も整えている。2015年には「学生が相互に教えあい学びあうことを通じて成長することを目指した学生の組織」としてShares(Sanno Hearty experts in Active learning RESources)を設立した。2019年度からは「Buddy」と称する新入生フォローを実施し、新入生が不安に感じていることを個別に先輩が回答する仕組みも作っている。これらの取り組みを継続し、教育改善を恒常的に進めるためには、「組織的に」推進する仕組み作りが鍵を握るだろう。授業改善を始めとした教育改善を、個々の教員の意識や努力に委ねるだけでは、恒常的に改善を進めることは難しい。APプログラムのような時限付き予算を伴う取り組みを期間終了後も発展させていく難しさは、多々指摘されている通りである。産能大では、学長を委員長とした15名程度の教員と職員が一体となった委員会が中心となって、複数のテーマに応じたタスクベースの8つのユニットの連携により、APプログラムを組織的に進めている。今年度でAPプログラム自体は終了するが、「予算がついたから実施したのではなく、実施していることに予算がついたので、これまでの取り組みを継続することは十分可能である」と浦野学長は自信を持って語る。組織的な取り組みも既に内在化しており、ユニットの多少の再編を行う程度で、これまでの取り組みを基盤としつつ発展させていくことが可能だと言う。「今後もアクティブ・ラーニングやPBLの先行事例としての優位性と、設立理念に表れるような大学の個性を活かして進化させていく」と浦野学長は今後の展望を語る。具体的には、「実践性と理論の両立をしながら、主体的に学べる学生を育成したい。担当者として役立つだけでなく、経営やマネジメントを担える人材を、さらにはグローバルに活躍できるような人材を育成していきたい」と言う。そのためには、大学だけではなく、高校における学びの転換も必要である。産能大では、2017年に「主体性」「協働力」というキーワードを軸にした探究型の学習プログラムを新たに開発し、全国各地の高等学校に実施ガイドを配布したり、教員研修を実施している。高校における探究的な学びが推進されているなかで、こうした学習プログラムを介在した高大接続は、今後より一層期待されるものであろう。産能大の取り組み、特に「聖域」とされている授業内の教授行動の可視化や評価に対しては、賛否両論あるように思う。しかし、今後の大学の教育改善の一つの方向性を示していることは間違いない。「情報や成果の公開を積極的に発信していく」とのことなので、関心を持たれた方は、ぜひとも実際に足を運び、リアルな情報の収集や議論を交わして頂きたい。(望月由起 日本大学文理学部教育学科教授)特集 教学マネジメントツール名主な機能受講生数カウントシート・受講生数と遅刻者数を記録する。履修人数との演算により「出席率」「遅刻率」が把握できる。・教室内を9つのエリアに分け、どのエリアに何人が着席しているかも記録する。これにより教室内の「学生分布」が把握できる。ムービングデータ測定シート・教員が教室内のどのエリアにいたのか1分単位で記録し、「教員ポジション」を把握する。・対象エリアは、上記9エリアに「教卓」を加えた10エリアである。パフォーマンスデータ測定シート・どのような授業が行われていたのかを、「教員」「学生」「ツール」ごとに、1分単位で記録する。・集計によって、当該授業の「教員行動」「学習者行動」「利用ツール」の特性が把握できる。受講態度観察シート・授業全体を通して、「私語」と「居眠り」を中心に学生の受講態度を観察する。・教室内の9つのエリアごとに観察するため、エリア別の受講態度を把握できる。学習者アンケート・授業後に受講生にアンケートを配布し、回答してもらう。・授業に関する質問は10問あり、7段階尺度で回答してもらう。集計によって当該授業の「学習者評価」「教員評価」が数値として把握できる。図表4 5種類の測定ツールとその機能複数ユニットの連携による組織的取り組み
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