カレッジマネジメント221号
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33リクルート カレッジマネジメント221 / Mar. - Apr. 2020特集 教学マネジメント(outcomes)へのパラダイム転換である。さらに、これまで入学段階の偏差値の単純な尺度で序列化されていたものを、卒業段階の多元的な成果の尺度に変えていく、入学の国から卒業の国に変わっていく大きなパラダイム転換とも言えるのではないか。だからこそ、情報公表が重要になる。学修成果をどのようにエビデンスベースで示していくのか、各大学の個性や特色が問われるポイントでもある。よく説明責任といわれるが、情報公表をただ義務的なものと考えるのはもったいない。情報を公表することで、社会からのフィードバックをもらうという視点も重要となる。その社会からのフィードバックによって、さらに教育の質を高めていく、あるいは経営の質を高めていくための良い機会だと、前向きに捉えられるかどうかがポイントとどのような学生に来てほしいのか、どのような要件(学力、意欲等)が必要で、それをどう評価するのか⇒入学者選抜改革入学者に求める学力の明確化(カレッジ・レディネス)それができるのは、どんな理念に基づき、どんな教育の仕組みがあるからなのか教育課程編成・内容の明確化卒業時にどのような能力を身につけて、社会に送り出すのか。何ができるようになるのかに力点。学生が身につけるべき資質・能力の明確化アドミッション・ポリシー(入学者受入れ方針)カリキュラム・ポリシー(教育課程編成・実施の方針)ディプロマ・ポリシー(卒業認定・学位授与方針)どのような学生に来てほしいのか?高校からの接続社会への接続どのような卒業生を社会に送り出すのか?入学から卒業まで一貫した教育の取り組み(教学マネジメント)大学関係者だけでなく、高校教員、保護者、受験生といったステークホルダーにも理解しやすい文章表現になっているか学修者本位の教育への転換学修成果の可視化積極的な情報公表独自性・個性の明確化(特色・役割・価値)建学の精神教育の理念こんな人材を育てたいという強い想い(学校のDNA)ミッション・ビジョンの明確化認証評価PDCAサイクルを重視(内部質保証)3つのポリシーに基づく一貫した大学経営と価値の浸透<大学教育のPDCAサイクルの確立>わかり易い情報公表が鍵学長を中心に教職員全体での取り組みをなってくる。そのためには、いかに分かりやすく情報を開示できるかが重要である。これまで何度となく「伝える」と「伝わる」は異なると記しているが、まさにステークホルダーにきちんと「伝わっているか」を、大学側も把握しておく必要がある。最後に、高校までの「カリキュラム・マネジメント」では、「校長又は園長を中心としつつ、教科等の縦割りや学年を越えて、学校全体で取り組んでいくこと」が求められている。大学の『教学マネマネジメント』においても、学長を中心に教職員全体で取り組んでいくことが求められる。教学マネジメントの推進に向けて、圧倒的な当事者意識を持てるかどうか、これが将来に向けた大学改革の成功の秘訣となろう。

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