カレッジマネジメント221号
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35リクルート カレッジマネジメント221 / Mar. - Apr. 202092%が「夢をもつことは大切」、75%が「自分の夢を見つけて実現していくのが良い生き方」という価値観を素直に肯定。また、「新しいことにチャレンジしたい」は88%、「自分の夢を叶えることができる仕事に就きたい」は86%で、「失敗をおそれず、とりあえずやってみることが大事」が82%と自分のやりたいこと・夢を大切に考え、高校生のうちに新しいことに挑戦し、将来につなげていきたいという意思を持つ高校生が増えているようだ。夢だけを追いかけているのではない。「今しかやれないことに全力を尽くす」83%、「今コツコツ頑張れば将来成功する確率が高くなる」81%。加えて、「自分をアピールすることはとても大事」77%といった、独自性と自分軸を持つことを半数以上の高校生が大事にしており、将来を見据えて行動している。では、高校生がより重視するようになっている価値観はどのようなものだろうか(図表2)。2014年から2019年の経年変化で10pt以上上昇している項目を抜き出した。上昇幅トップの項目は「自分のやりたい事や夢があれば学歴は関係ない」(+17.2pt)、次いで「これからの人生で取り組みたいことがいくつかある」(+12.3pt)、「今が楽しければそれが一番」(+12.0pt)と続く。学歴に捉われず、やりたいこと・夢を大切に、コツコツと、試行錯誤しながら今やれることをやる。そして、きたる将来に向けて取り組みたいことをいくつも膨らませる、自ら行動し続けることのできる世代なのだ。その背景にあるものは何だろうか(図表5)。これまでの社会は「有名大学に入り、大企業に就職し、終身雇用のもとで働く」といった『単線型』キャリアこそが成功モデルだった。一方、これからの社会は将来を見通すことが難しく、正解のないVUCA Worldに突入し、『複線型』キャリアになっていくだろう。VUCA(ブーカ)とは、Volatility(不安定性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)の頭文字を取った、2010年代に、世界のビジネス界で予測不可能なこれからの時代を表す言葉として使われるようになった略語である。「終身雇用」「年功序列」「生涯一企業」などの『単一価値観の中での成功モデル』が崩れ、誰かが敷いたレールに乗っていればある程度の正解が得られていた時代は終わった。正解はなく、一人ひとりの価値観も異なるこれからの社会では、“1人で”ではなく、お互いを尊重し、意見をぶつけながら解を見いだしていくしかない。このような社会背景もあり、高校生が自分のやりたいこと・夢を大切に、独自性や自分軸を持って生きていくことを保護者含め、社会全体が願っているのではないだろうか。本調査では、将来や進学に関する0100(%)自分の夢を叶えることができる仕事に就きたい前例やルールがなくても自分で判断して行動することが得意自分をアピールすることはとても大事だ自分は人から必要とされている今が楽しければそれが一番だと思うこれからの人生で取り組んでみたいことがいくつかある自分のやりたい事や夢があれば学歴は関係ない46.063.275.062.141.176.651.662.750.129.765.640.775.185.82014年2019年+17.22014→2019+12.3+12.0+11.4+11.0+10.9+10.7図表2 高校生がより重視するようになった価値観なりたい自分へ一直線。「プロ突進タイプ」が増加

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