カレッジマネジメント221号
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36リクルート カレッジマネジメント221 / Mar. - Apr. 2020質問から5つの因子を分析し、その反応をもとに高校生を8つのクラスタータイプに分類した(図表3)。高校生のクラスター構成比の変化をみると(図表4)、2014年には25%しか 存在しなかった「プロ突進タイプ」が2019年は34%に増加した。2014年にほぼ同等22%だった、「自分探しタイプ」は2019年も22%と経年での変化はほぼなかった。一方、“好きなことを自由で楽しく、厳しい環境は苦手”“夢はなく勉強は嫌い”といった「好きエンジョイタイプ」「未成熟タイプ」は、2014年から2019年でほぼ半減している。今まで以上に社会変化が加速度的に訪れ、不確実性の増す社会変化激しい今、目的を持って、将来に対しなりたい自分を大切に、自力で道を切り開いていきたい高校生が増えてきている。そうはいっても、やりたいことの見つけ方が分からず、一歩踏み出せない高校生も多いだろう。そのような高校生にとっても踏み出すきっかけとなるような、「高等教育環境」の変化について次に紹介する。現在の高校生が置かれている環境について、保護者の高校生時代と比較して少し触れておきたい(図表6)。まず、必要な資質についてだ。成長社会で高校生活を過ごした保護者は、早く効率的に正解に到達することが求められ、『情報処理力』が重要視されてきた。しかし、時代が成熟社会に移り変わり、ライフスタイルの多様化と社会の複雑化が進む現代に生きる高校生は知識・技能を習得するだけでなく、思考力・判断力・表現力を活かした『情報編集力』が重要になってきている。つまり「みんな一緒」から「それぞれ一人ひとり」へという変化だ。それに伴い、高等教図表3 高校生の進学や将来に対する考え方クラスター8タイプ図表4 高校生のクラスター構成比の経年変化5つの因子反応から8タイプに将来や進学に関する質問をした結果、5つの因子が抽出され、その因子への反応をもとに、高校生を8つのタイプに分類した。●重視項目因子・学生生活謳歌型因子勉強以外の学びや学生生活、可能性の広がりを重視・まじめ勉強型因子学問や研究を充実させることや得意分野を作ることを重視・地位上昇志向型因子大きな成功、有名企業への就職、出世や富などステイタスを重視・夢・興味を仕事に型因子夢をかなえる、好きなことや趣味を仕事にすることを重視・ほどほど生活型因子高望みせず、そこそこ楽しい生活ができることを重視将来のことは先延ばし。8割弱が大学・短大に進学、「入ってから夢を見つけたい」と考える。偏差値や入試方法の基準しかもたないので、学校側の「なぜよいか」というレコメンドを期待。Type 6自分探しタイプとりあえず大学に行って自分の可能性を広げたい今の目標は少しでも偏差値の高い大学に行くこと。有名企業に入り、出世することが幸せな生活の基盤になると考えている。流行に敏感で、進学情報の収集も活発。Type 1ブランド重視タイプ偏差値の高い学校に入って有名企業に就職したい進学したらコツコツ勉強して知識や技術を身につけ、将来の厳しい競争社会を生きの残りたいと考える堅実派。早くから各学校や学部の詳しい比較検討を進めている。Type 3学者タイプコツコツ勉強して得意分野を作りその道の専門家に競争が苦手で、上昇志向は低め。家族など身近な人達を大事にしており、地元志向も強い。小規模で居心地のよい雰囲気で、資格なども取得したいと考えている。Type 5おっとりタイプ勉強も遊びもバランスよく。高望みせず自分の世界を大切になりたい自分が明確。夢実現のための努力を厭わず、将来の成功を切望。ネットワークも広く、志望業界で働いている先輩からリアルな情報を手に入れ、進路選びに対する情熱がある。Type 2プロ突進タイプなりたい自分へ一直線。自力で道を切り開き成功したい将来会社に入ったり出世することに興味がなく、今「好きなこと」を手がかりに進学先を考える。ただし厳しい環境は苦手で、自由に楽しくやりたい。交友関係が広く深い。Type 4好きエンジョイタイプがつがつせずマイペースで好きなことを続けたい将来の夢も、進学先へのこだわりもなく、「入れればどこでもいい」という感覚で進学する。自宅に届く進学情報誌など受け身でも触れられる情報に影響される。Type 7未成熟タイプ夢はなく勉強は嫌い。今、楽しければOK学歴や偏差値が高いことに興味がなく、大学に行くことに関心がない。自分のやりたいことや夢を大切に、ものごとの選んだり決める時は直感で決めることが多い。身近なに人からの情報に影響される。Type 8就職タイプ手に職をつけて就職した。学校に行く必要はない2014年 全体 (n=1438)2019年 全体 (n=600)(%)就職未成熟自分探しおっとり好きエンジョイ学者プロ突進ブランド重視11.333.611.14.311.721.66.10.311.525.211.27.410.521.512.20.5「変わる」高校を取り巻く環境学びのきっかけは多様化

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