カレッジマネジメント221号
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38リクルート カレッジマネジメント221 / Mar. - Apr. 2020誰も正解を持ち合わせていない、何の保証もない未来で生きていく高校生。ワクワクした気持ちを抱いて、“自分のやりたい”という意志を貫き通して進んでいけるようサポートする“学びの場”が広がりを見せている(図表7)。探究学習が推進され、特色あるカリキュラムで出る杭をサポートする高校や、高校の枠を越えて主体性や個性を活かせる場が増えている。どの“学びの場”にも共通していることは、未経験なことを提供し挑戦と失敗を応援していること、そしてその挑戦と失敗のドラマが多くの人に共有される仕掛けになっていることだ。“1人で”ではなく“みんなで”共有することで、失敗も楽しみながら、自ら学び、自ら行動し、失敗から学び、次のチャレンジに繋げていく。そのような環境に飛び込んでいる高校生に話を聞くと、「自ら動くことで自分が苦手なことが明確になるからうれしい」「ワクワクした気持ちが湧きだす」「やりたいで動ける高校生活」とイキイキとした表情で進路選びについて語ってくれる(図表8)。彼らの進路選びのポイントを探ると①「学び」の機会をきっかけに自ら動き出す。②同質化ではなく、独自性を重視し、自分軸を持っている。③高校の枠を越えた自主活動に積極的。という共通点が見られた。このようにワクワクするモチベーションを大切にした進路選びをリクルート進学総研では「ワクモチ進路」と名付けた。これからは、高校の授業や高校外での“学びの場”をキッカケに、“自分のやりたい”ことを重視し、学ぶ環境を積極的に選択する生徒が増加し、出る杭は打たれる、ではなく出る杭を共に育み・伸ばす教育や進路選びがトレンドになるだろう。●最後に「とにかく早く“自分のやりたいこと”を大小問わず見つけてほしい」と、高校生に伝えたい。“やりたいこと”は大人が押しつけることができない。“向いている、向いていない”“偏差値が合っている、合っていない”という話とは違い、“やりたいか、やりたくないか”。図表7  高校生をサポートする“学びの場”の広がり事例公立高校進学における、新たな選択肢として、都道府県の枠を越え、北海道から沖縄まで各地域にある魅力的な学校がそこでしかできない体験と新しいチャレンジを提供している(2020年1月時点55校)。そこにしかない魅力ある環境体験と教育内容でグローカル人材を育成している。島根県立隠岐島前高校「魅力化プロジェクト」や島根県立津和野高校「T-PLAN」など、その地域の特性を活かした探究学習を中心とした“ならでは”の教育コンテンツが魅力となっている。高等学校編学びの場地域みらい留学(地元外進学)高校生が身の回りの課題や関心をテーマにプロジェクトを立ち上げ実行することを通じて学ぶ「実践型探究学習プログラム(PBL)」を提供。小さくても実際に起こす「アクション」と、プロジェクトに対する「主体性」が、進路選択にも大きく寄与している。プロジェクトでの学びを振り返る「マイプロジェクトアワード(文部科学省後援)」を日本全国で開催。7回目となる2019年度は、2,900プロジェクト、9,000名の高校生が参加。3/28-29には東京にて、全国大会が開催される。高等学校枠外編学びの場全国高校生マイプロジェクト実行委員会ワクワクする進路選び挑戦と失敗をサポート「若さを理由に、夢を諦めてはいけない」をスローガンに、TwitterなどのSNSのつながりでお金を集めることができるフレンドファンディングアプリpolcaの開発など、若者の夢や挑戦を応援する資金調達の仕組みを提供している。年間9,000件プロジェクトうち、10代起案プロジェクトは約600件。高校・大学のオフィシャルサポーターが増えており、札幌新陽高校・鹿児島純心女子中学・高校など4校が参加している(2020年1月時点)。SNS活用編学びの場CAMPFIRE社「クラウドファンディング」女子高生の挑戦。屋根のない油津商店街アーケードをカラフルな傘で彩りたい!集まった金額 1,035,000円(目標600,000円)目標達成率172%支援者数105人

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