カレッジマネジメント221号
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42リクルート カレッジマネジメント221 / Mar. - Apr. 2020大学は、最終学歴となるような「学びのゴール」であると同時に、「働くことのスタート」の役割を求められ、変革を迫られている。キャリア教育、PBL・アクティブラーニングといった座学にとどまらない授業法、地域社会・産業社会、あるいは高校教育との連携・協働と、近年話題になっている大学改革の多くが、この文脈にあるといえるだろう。この連載では、この「学ぶと働くをつなぐ」大学の位置づけに注目しながら、学長及び改革のキーパーソンへのインタビューを展開していく。各大学が活動の方向性を模索する中、様々な取組事例を積極的に紹介していきたい。今回は、徳島大学の地域との連携を強める試みについて、COC+とその一環である「寺子屋式インターンシップ」を中心に、吉田和文副学長(地域・産官学連携担当理事)と、川崎克寛特別准教授(COCプラス推進コーディネーター)にお話をうかがった。徳島大学は、総合科学部、医学部、歯学部、薬学部、理工学部、生物資源産業学部と、理系中心の6つの学部を持つ総合大学だ。大きな特徴として吉田和文副学長は、「光工学を強みとしていること」をあげる。「本学の最も有名な出身者の一人が、青色LEDの研究で2014年にノーベル賞を受賞した中村修二氏。彼が在籍していた地元の日亜化学工業との縁もあり、全国に先駆けて光応用工学科を1993年に設置しました。2018年度に採択された内閣府の『地方大学・地域産業創生事業』も『次世代“光”産業』がテーマで、事業主体は県ですが、本学が実行部隊として大きなウエイトを占めています」。人口減少・少子化の流れの中で、学生=若者の地域定着は地方大学の大きな役割になっている。徳島大学の学生数は大学院まで含めると約7500人。これは徳島県の20~24歳人口(2010年度国勢調査)の20%以上に相当するというから、確かにその帰趨は地域の関心事だろう。吉田副学長は「ただ、地域の人口問題は大学が取り組むべきことなのか、行政がやるべきことではないかと、学内でだいぶ議論がありました」と言いつつ、こう続ける。「とはいえ、大学の使命として社会貢献・地域貢献ときちんと向き合っていかないと、国の財政も厳しくなる中、大学自体の存続が危ない状況です。地方自治体も含めた産学連携も大事になってきています」。こうした問題意識のもと、2014年の4月までに県内の全自治体と連携協定を締結、同年8月には「地域と共に 未来へ歩む徳島大学宣言」が発表された。「地域貢献を重要課題・使命とするこの宣言の意義は、学内でも大きかったといえます。全学に周知され、地域との連携を強化する機運が高まりました」(吉田副学長)。この宣言と前後して、トライアル的なものを含む地域連携が様々に始まった。2015年度には、学内のIR室24徳島大学学生のスイッチを入れる地域の産学協働「寺子屋式インターンシップ」吉田和文 副学長川崎克寛 特別准教授・COCプラス推進コーディネーター『次世代“光”産業』にフォーカス地域と共に未来へ歩む徳島大学宣言全学で地域理解のための教育科目導入

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