カレッジマネジメント221号
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43リクルート カレッジマネジメント221 / Mar. - Apr. 2020により学生に対するアンケート調査が行われた。COC+事業「とくしま元気印イノベーション人材育成プログラム」の開始に先立つこの調査の結果、「地域に関する授業科目」は、徳島県出身の学生よりも、県外出身の学生のほうが県内就職の割合を一定程度高める効果があると検証された。「学生の出身地は約30%が県内。70%を占める県外出身の学生に一定の効果があるならとCOC+にも入学生全員が『地域理解のための教育科目』を受講することを盛り込んで、学内的にも好意的に捉えられました」と吉田副学長は言う。COC+事業採択をきっかけに、地域志向科目群はさらに全学で整備が進んでいった。「2016年度の学部再編時に、それまで総合科学部が担っていた教養課程を担当する専門部署として教養教育院を作りました。COC+の採択が決まった2015年秋の段階で、翌年度から教養教育院に「地域科学教育科目群」を編成する等、全学が地域理解のための教育科目を受ける形にしてもらいました」(吉田副学長)。月下旬から2月上旬までの長期にわたり、少人数単位で「課題・レポート・ディスカッション」を繰り返す方式を「寺子屋式指導法」と名付けている。いったんプロジェクトがスタートすれば、具体的な作業を直接指導するのは受入団体(企業)のメンターであり、教員は学内メンターとして補助的な役割にまわるのも特徴だ。「このインターンシップは、普通の学生を対象にしています。その普通の学生の伸びしろを、入学から卒業までにどれだけ伸ばせるかということも、今後、大学の一つの特色、ステータスになると思っています」と川崎特別准教授は言う 。この方式の要の一つは、立ち上げ時の課題設定だ。2月から4月にかけてコーディネーターが4つの専門分野に関わる地元企業を訪問し、経営課題を聞き取りながらプロジェクトを構築していく。「ポイントとしては『緊急性はないけれども重要度が高い』もの。ただ、それは社長をはじめ経営幹部の方が考えてもなかなか難しい課題です。学生ができるレベルに切り出していくCOC+は大きく3段階のカリキュラム編成をとっている。第一段階が「地域理解のための教育科目」で、教養教育の地域科学教育科目、もしくは地域志向科目を、全入学生が必ず履修する。第二段階は、徳島県で雇用創出と就職率向上が期待される4つの専門分野に関連付けられる「専門プログラム」。責任部局制をとっており、(1)次世代技術関連分野(LEDやロボットなど)は理工学部、(2)地域医療・福祉関連分野は医学部・歯学部・薬学部、(3)6次産業化関連分野は生物資源産業学部、(4)地域づくり・観光・ICT関連分野は総合科学部が、担当学部となっている。第三段階が「寺子屋式インターンシップ」だ。COCプラス推進コーディネーターの川崎特別准教授はこう説明する。「2人から4人の少人数チーム制がまず特徴です。学年学部横断のチームで、企業様の経営課題の解決に取り組んでいくPBLプログラムです」。4重要度が高い経営課題重要度がさほど高くない経営課題緊急である主体:社員日常業務として、マニュアル化・体系化されている主体:アルバイト/パートアルバイトやパートで十分できる仕事緊急ではない主体:経営者・幹部経営上の課題会社が次の展開へと進むために必要な仕事(仮説検証)業務の見直しが必要な仕事(ベンチャーにつながる要素が埋もれている可能性もあり)受入団体担当教員(ドン)COC+推進コーディネーター受入団体担当者学生プロジェクトチームプロジェクトの進め方プロジェクトの進捗定期的なレポートつまずきの確認(面接)タスクの管理成果物のレビュー緊急度は低いが、重要度の高い経営課題(企業にとって将来解決する必要性のある課題)からプロジェクトを策定。その仮説検証を企業担当者と学生チームが担う。徳島大学COC+ 実践力養成型(寺子屋式)インターンシップ概略図企業の課題を考える「寺子屋式インターンシップ」
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