カレッジマネジメント221号
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44リクルート カレッジマネジメント221 / Mar. - Apr. 2020と『組織変革』『新規事業・商品開発』のどちらかになっていくことが多いです」(川崎特別准教授)。さらに、その課題が解決することによって、企業が次のステップとして何ができるかを握り合う。そうでなければ受入企業側に真剣味が生まれないからだという。数回の企業訪問、プロジェクトごとの学内メンター(教員)との調整を経て、プロジェクトが立ち上がると、各受入企業が学生に直接説明する4月の「インターンシップフェア」を迎える。例年100名から150名の学生が参加し、うち30%ほどがエントリー、企業側による書類選考と面接を経てチームが決まる。2018年度は3学部から1年生14人、2年生9人、3年生21人の計44人が、16の受入団体で取り組んだ。具体的に学生が作業を始めるのは6月頃だが、川崎特別准教授は「実際、本当に集中して動いている期間は、10月の中間報告会以降の1カ月から1カ月半くらいではないか。そこまではアイドリングが必要で」と言い、こう続ける。「中間報告会は、学生同士がお互いのプロジェクトの進捗を『たたき合う』、よく言えば『切磋琢磨しあう』場。そこでスイッチが入って、熱が増していく」。スイッチを入れる役割の中間報告会とは異なり、1月の最終報告会は、成果のお披露目会であり、学生、受入団体、学内関係者の他、数は少ないが、学生の保護者、高校生なども来場する。各チームが受入団体と共に大教室で全体向けショートプレゼンを行った後、専門分野ごとに4つの分科会が行われる。「寺子屋式インターンシップ」の成果としてはまず、学生の能力伸長がある。「コンピテンシーではコミュニケーション能力が、リテラシーでは情報分析力を中心に全般的に、すごく伸びます」(川崎特別准教授)。COC+事業の一環として、受入団体である地域企業にとっての成果も上げている。雇用面では、数は少ないながら、インターン生が受入団体でそのままアルバイトを続けたり、結局そこに就職したりという例があるという。業績向上面では、売り上げが最高で4倍になった企業があるという。「もちろんこのインターンシップだけの効果ではありませんが、1年目は経営理念、翌年は中期計画、と組織課題に取り組み、しかも策定だけでなく、社員への広報・浸透までを組み込んだことで、経営上のインパクトが生まれたようです。経営者の方は『社員がグッとまとまってきた』とおっしゃいます」(川崎特別准教授)。また別の企業では、入社3年目から5年目の若手社員をメンターにしたことで、その社員の育成という成果も得られた。企業への満足度アンケートでは「大いに満足」「ほぼ満足」を合わせてほぼ100%だという。ただ、「終わった瞬間は、学生も企業さんも、二度としたくない、やらなきゃ良かった、もうやりたくない、と言います」(川崎特別准教授)という過程もある。しかしこれは「学生も企業側も本気で取り組んだ証拠」だと言う。「お互いにヘビーなのがあたりまえだと思います。未来の課題に挑戦しているわけですから。1カ月くらい経ってようやく、やって良かったな、となります」。そして川崎特別准教授は、学生が残した名言を教えてくれた。「(楽をして単位を取りたいと思っているような)友達には勧めない、でも自分の妹か弟が入学したら、絶対行け、って言いたい」。徳島大学のCOC+事業は、国の中間評価(2017年度)で全国42事業のうち5事業のみのS評価を得ている。しかし補助事業としてのCOC+は2019年度が最終年度なので、継続方法が最大の課題となる。吉田副学長は「財源の問題は大きく、学外に一定の負担を頂かざるを得ない」と言う。COC+の参画企業・団体、高等教育機関による「イノベーション人材育成協議会」を母体に「コンソーシアムとくしま」を立ち上げ、会費的な寄付を得て事業を継続していく方針が、2019年12月の全体協議会で承認されている。学内の体制としては、COC+推進本部事務局をはじめ4組織を2019年4月に統合して「人と地域共創センター」を開設した。リカレント教育を中心に、大学ならではの地域のための社会人教育を行っていく趣旨のセンターで、その中の「協働教育部門」でCOC+の継続事業を行うことになっている。友人には勧めないが、自分の弟や妹には勧めたいコンソーシアムとくしまで継続(角方正幸 リアセックキャリア総合研究所 所長)
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