カレッジマネジメント222号
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16リクルート カレッジマネジメント222 / May - Jun. 2020て施設を利用するためには、保有する施設を健全に維持していくことが極めて重要である。そのために、施設の劣化・損傷に対応する修繕、設備機器の点検保守等の維持管理を適切に実施する。③地球環境への配慮社会的責任として、地球環境に配慮した低炭素社会の実現に向け、環境への負荷が少なく持続的発展が可能なキャンパスの形成に取り組む必要がある。そのため、安定的、継続的な教育研究活動に配慮しつつ、エネルギーの効率的使用や省エネルギー機器の採用など、省エネルギーに資する取組を行う。(2)スペース学生・教職員によるスペースの必要以上の専有や既得権意識を排除して全学的にスペースを管理し、目的・用途に応じた施設の需給度合い、利用度等を踏まえながら、既存スペースを適切に配分し、施設の有効活用を積極的に行う。教育研究内容の新たな展開等により生じる施設需要に対応する必要がある場合においても、まずは、既存施設の活用を十分に検討する。施設の新増築はその後の施設管理に係るコスト(定期的な改修費や毎年の維持管理費、光熱水費等)の増大につながることを認識し、保有施設の総量の最適化を図る。また、改修等の際には、教育研究活動の変化に柔軟に対応できるような可変性を有した計画としておくことが望ましい。①利用効率の向上施設の利用状況を踏まえて、配置の適正化も図りながら、同種の用途や同様の機能を有するスペースを集約し、利用効率の向上を図る。講義室や会議室等の部局の枠を超えた活用を進める。利用者の利便性を高めるため、収容人員、設備内容などの情報を公開して予約が可能となるシステムを構築する。また、空き時間、夜間・休日には、学生の自律的学修の場や公開講座など地域貢献の場として活用する。②共同利用スペース等の確保共同利用スペースとして、研究内容や利用者を特定しないスペースを確保し、部局の枠を超えた活用を進める。利用効率の向上を図るために、単一の部局ではなく全学的または複数部局の連携により運営する。大学の理念やアカデミックプランの実現に向けて戦略的・重点的に進めている教育研究等の取組に対して、トップマネジメントにより速やかに配分し得るような、本部で管理するスペースを確保する。③学外施設等の活用施設の確保方法は、自己保有だけでなく、地域や他大学との連携を含めた学外施設等の活用についても検討を行う。(3)コスト施設に係る支出(新増改築費、改修費、維持管理費及び光熱水費)の増減が財務経営に与える影響は少なくない。このため、施設のクオリティの確保やスペースの活用に係るコストについては、大学経営の視点から、費用対効果の向上や保有施設全体のライフサイクルコストの効率化を踏まえて必要額を検討し、戦略的に財源を確保・管理する。施設のライフサイクルコストとしては、整備のための初期の建設コスト(イニシャルコスト)のほかに、定期的な改修費や毎年の修繕費・保全費・光熱水費等のランニングコストが将来にわたり継続的に必要であり、ランニングコストはライフサイクルコスト全体の約7割を占める。このため、特に施設の新増築等を計画する際には、施設の維持に必要な財源の負担方法等について十分な検討を行う。①財源の確保維持管理については、学内予算配分において、必要な経費を包括的に確保し、一元的に管理・配分する等、効率化を図る。また、競争的資金の間接経費は、研究環境の改善や機能の向上に活用するものであり、このような財源についても維持管理費への充当を検討する。さらに、スペースチャージ等施設利用料を徴収する制度の導入は、施設の維持管理費の確保とともに、利用者の施設に対するコスト意識の醸成に効果がある。また、省エネルギー対策として、老朽化し非効率な機器の更新を行う場合には、光熱水費の削減分を活用する等、計画的な財源の確保を図る。このほか、財源確保の方策としては、PPPやPFI事業の実施、国や地方公共団体の補助制度の活用、地方公共団体や

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