カレッジマネジメント222号
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17リクルート カレッジマネジメント222 / May - Jun. 2020企業等との連携による整備、長期借入金制度の活用等があり、これら多様な財源の活用を検討する。②維持管理費等のコスト縮減施設の維持管理等に係る費用は、ライフサイクルコスト全体の約7割を占めることから、最小投入費用で最大効果を目指す。修繕費については、施設の劣化が進行してから事後的に修繕を行うと、結果としてトータルコストがかさむこととなる。そのため、予防保全の観点から、施設・設備の耐用年数やライフサイクルコスト等を踏まえて修繕の実施時期や必要経費を定めた長期の修繕計画を策定し、計画的、定常的に修繕を実施することにより、トータルコストの削減と毎年のコストの平準化を図る。保全費(点検保守費・運転監視費・廃棄物処分費・校地維持費・清掃費・警備費等)については、役務の一元化や維持管理契約の複数年度化等の見直しを行うことにより、維持管理の質を確保しつつ、費用の削減を図る。光熱水費については、エネルギー使用量を全学的に管理し、目標値を設定して費用の抑制を図る。その際、学部学科や研究室等の単位でエネルギー使用量及びその料金を学内に公表し、実態を見える化することで、省エネルギーについての理解と協力を得る。(4)中期的な行動計画の策定施設整備・管理目標を達成するための、施設の整備・修繕、既存施設の有効活用や省エネルギー対策等の具体的な各実施方策について、中期的な行動計画を策定する。施設整備・修繕事業を実施する場合には、キャンパスマスタープランやライフサイクルコストを踏まえた長期の修繕計画等に基づき、中期的な行動計画として、施設整備計画及び施設修繕計画を策定する。施設修繕計画は、修繕事業について、保有施設・設備の耐用年数やコストを考慮し、自己財源等の確保も含めた実施可能な具体的な計画を策定する。具体的には、全学的に修繕・更新が必要な箇所を調査し、現状を客観的に評価して早急に実施すべき事業量と必要な工事費を把握した後、目標期限を設定し、緊急性等に基づく事業の優先順位を定めて計画を策定する。1.情報提供2.施設マネジメントの取組状況の評価3.施設マネジメントの理解促進1.国立大学の取組(千葉大学、名古屋大学、京都大学、大阪大学等)2.私立大学の取組(慶應義塾大学、早稲田大学、立教大学、同志社大学等)3.海外の大学の取組(ハーバード大学、マサチューセッツ工科大学等)本報告書は、国立大学等向けに作成されたものだが、私立大学や公立大学等においても、参考になる内容が多数含まれている。本報告書を積極的に活用して、経営者層をはじめとした学内全体のより一層の理解を図り、経営者層を中心とした全学的体制による戦略的な施設マネジメントを進めて頂きたい。なお、本報告書を踏まえ、各大学で取り組んでいる施設マネジメントの具体的な取組を先進的や効果的等の視点で事例として取りまとめているので、合わせて活用して頂きたい。※文部科学省が作成した施設マネジメントの報告書や事例集は、以下の文部科学省ホームページで公開している。・大学経営に求められる施設戦略~施設マネジメントが教育研究基盤を強化する~(平成27年3月)https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shisetu/030/toushin/1355946.htm・大学経営に求められる施設戦略 先進的・効果的な施設マネジメントの実践事例―「計画的な修繕と財源確保」と「既存スペースの再配分」―(平成27年10月)https://www.mext.go.jp/a_menu/shisetu/kokuritu/1363228.htm・大学経営に求められる施設戦略 先進的・効果的な施設マネジメントの実践事例―「全学的な体制による施設マネジメントの推進」―(平成29年3月)https://www.mext.go.jp/a_menu/shisetu/kokuritu/1383175.htm・戦略的な施設マネジメント~大学経営に求められる施設戦略~(平成29年3月)https://www.mext.go.jp/a_menu/shisetu/kokuritu/1383289.htm・戦略的な施設マネジメント実践事例集2019(令和2年3月)https://www.mext.go.jp/a_menu/shisetu/kokuritu/1383290.html第4章 国の推進方策第5章 取組事例各大学に期待すること特集 教育改革を実現するキャンパス戦略

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