カレッジマネジメント222号
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19リクルート カレッジマネジメント222 / May - Jun. 2020単に作るだけでなく、石川 初教授のもとではその先の「循環型」実験も始まっている。ファブキャンパス委員会では、作る→使う→壊す→戻すまでの資材のライフサイクルをきちんと考えてデザインできる人材を育てる必要性を議論した。廃材から資材を生み出す学生達の中に、着実に循環型FABは育っている。教員がファシリティを整備したいと思ったら、安全な使い方やマネジメントを一緒に考えてくれる職員がいる。そこには都会から離れた立地という学生募集上不利な条件を抱えた共通の危機感があるからで、学生が集う理由を作るのも動機の一つだった。「キャンパスができてから10年ぐらいは、SFCが何をやっても新しかった時代。それをどうつなげていくかという時代を経て、今は30年経ったものをどう見直して使い続けていくか、新しい意味を与えるかという、読み直しの時代に入ってきた」と石川 初教授は言う。壮大な実験キャンパスの今後に期待したい。(文 能地泰代)「問題発見・解決型教育」。もはや定説となったこの言葉を、時代に先駆けること1990年に教育理念として掲げたSFCも、今年で開設30周年を迎えた。文理融合教育、自分で組み立てるカリキュラム、国内大学初のインターネット環境等、パイオニアの実績はさることながら、SFCもアップデートし続けなくてはとの思いがある。30周年に向け、現在進行形でキャンパスを変えていこうという動的なタイミングの中、2016年に開設したのが「ファブキャンパス」だ。「問題発見・解決型」思考を培うキャンパス作りのご参考に供したい。メディアセンター1Fのガラス張りで最も目立つ場所に置かれた「ファブスペース」。ファブの初心者が対象で、常勤の「FABコンサルタント」が学生のフォローを行う。12台の3Dプリンタ、3Dスキャナ、デジタル刺繍ミシン、レーザーカッター等を常備し、ここを利用した人の7割がものづくりを専門としない学生だ。レイヤー3には、ハイエンドで危険度も高い大型ファブ施設を配置。「DFF-M(Digital Fabrication Factory -Metal)」は、ゼータ棟にある金工に特化したファブ施設。「DFF-W」と合わせ、大型ロボットアームや大型CNCを使い、建築や自動車を実寸大で制作できる。「未来創造塾」の敷地内に、木工に特化したファブ施設「DFF-W(Digital Fabrication Factory-Wood)」がある。SBCプロジェクトの学生がデザインに参加した未来創造塾は、寝食を共にしながら、研究や木工制作に打ち込めるスペースだ。入門ファブで体験したら、より専門性を深めた特別教室のレイヤー2へ。オミクロン棟2Fにある「アトリエフロア」には、ファブスタジオ、建築アトリエ、ロボットアトリエ、電子工作アトリエが設置され、授業や研究が展開されている。制作物の展示、講評をするSBC(Students Build Campus)センター。レジデンス型教育研究施設「未来創造塾」の設計・使い方を、学生が自分達で考える「SBCプロジェクト」のアイコン的存在。PCの中で見えなかったデジタルをフィジカルにして出すと、周囲とのコミュニケーションが生まれ、色々な展開が始まるのがものづくりの面白さだ。レイヤー1(入門ファブ)レイヤー2(発展ファブ)レイヤー3(大型ファブ)特集 教育改革を実現するキャンパス戦略

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