カレッジマネジメント222号
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21リクルート カレッジマネジメント222 / May - Jun. 2020会をつなげる窓口が集約されている点が特徴。社会との接点を一元化することによって、より効率的で一体的な実学支援の実現に結びつけようという仕組みだ。図書館で知識を広げ、ACTで実学にチャレンジする。近畿大学の建学の精神である「実学教育と人格の陶とうや冶」を目指した校舎として、様々なアイデアが盛り込まれたアカデミックシアター。オープンして3年となり、「学生達が勉強している姿を見る機会が多くなりました」と萩原氏は語る。開かれた図書館とガラス張りの環境は、学習行動の可視化にもつながっている。理想的な校舎を造るため、職員達は他大学、塾、予備校、海外の施設までも見て回り検討を重ねてきたそうだ。ACTのガラス張りのスペースも計画当初は「見られると落ち着かない」等の反対意見があったが、同様の施設を視察してうまくいくと確信を得た。「大学は外にアピールしていく場でなければいけないと考えています。ACTも現在、順調に活用されています」(経営戦略本部 世耕氏)。「将来は図書館を24時間開放して、学生達がいつでも学べる場所にしたいですね」(世耕氏)。創立100周年に向けてまだまだ新しい驚きが飛び出してきそうだ。(文 木原昌子)大学は「社会の公器」であり、より一層の産学連携が期待されている。しかし、全学を挙げて地域や産業界とどのように連携を進めていくかについては、課題も多い。産学連携は、もはや理系だけのものではなく、文理の連携も必要になってくる。キャンパス戦略の中にどのように、そうした理念や取り組みを反映させていくか。そして、教職員や学生のやる気に火をつけていくか、新たなステージに向けたチャレンジが始まっている。アカデミックシアター全景。ガラスキューブ状の図書館を通って4つの号館を行き来できるようになっている。夜にライトアップされた姿も美しい。1階と2階の図書館は通路でもある。静まり返ることなく、適度な人の動きがあることで心地のよい空気が流れる。様々な椅子や机があり、学生は勉強に集中できるお気に入りの場所を見つけることができる。ACTは全てガラス張りのプロジェクトルーム。プロジェクトの活動が誰でも外から見えるようになっている。全てをオープンにすることで、見る人も見られる人もいい刺激を受ける。広々とした自習室は24時間利用可。スマホのアプリで席の予約もできる。写真は女性専用の自習室。深夜でも安心して勉強に没頭できる。2019年9月にオープンした食堂「DNS POWER CAFÉ」。カロリーやたんぱく質量を計算したメニューをスマホで予約し、お弁当として受け取ることもできる。図書館2階は「DONDEN」と呼ばれるエリア。「笑いとオチの現象学」「恋する女の生きる道」「革命ごっこと戦争モード」など独自の32テーマで書棚が作られ、漫画と新書が配置されている。1階に行くと、そこは天井まである書棚が圧巻の「NOAH」と呼ばれるエリア。大学らしいテーマの書籍がずらりと並ぶ。2階DONDENのマンガで関心を持ったら、その横に関連した新書でスムーズに興味を広げられる。さらに深く知りたくなったら1階NOAHに専門書もある。興味をきっかけに学生の行動を促す仕組みになっている。特集 教育改革を実現するキャンパス戦略

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