カレッジマネジメント222号
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23リクルート カレッジマネジメント222 / May - Jun. 2020新しい刺激につながる。また、海外の学生達の学ぶ姿を目の当たりにできることも大きい。「TUJの学生達は本当によく勉強しています。そして主体的に動き、自己責任でどんどんチャレンジしていく。昭和女子大学の学生達もその姿をキャンパス内で目にすることで、世界のレベルに刺激され成長すると考えています」(坂東理事長)。実は学生だけでなく、教員や学校としても多くの発見があったと坂東理事長は語る。「TUJの日本文化の授業で、日本語で本を朗読してほしいという依頼がありました。彼らが英語によるコミュニケーション以上に求めているのは、私達が持っている専門性なのです。つまり教員も学生も一人ひとりが高いレベルのコンテンツを持つことが大事だということを改めて知らされました」2つの大学が共存するキャンパスはまだスタートしたばかり。このキャンパスならではの新しい経験によって学生が卒業までにどういう力を身に付けたのかということが成果であり、昭和女子大学としても最も期待しているリターンであるという。スーパーグローバルキャンパスは、新しい文化が生まれる土壌となりそうだ。(文 木原昌子)国境を越えて活躍するグローバル人材の育成は、多くの大学において中長期的な改革の柱として掲げられている。その目標を達成するためには、語学に関する授業カリキュラムや留学プログラムの強化といった教育はもちろんだが、異なる国や地域を文化背景とする多様性を受容する姿勢を、日々の学生生活の中で身につけられる環境を整備する大学も出てきている。グローバル人材育成に向けて、従来の枠組みを越えた連携や施設整備の挑戦が始まっている。昭和女子大学のキャンパス内に移転したTUJの校舎。両学生達はキャンパス内の食堂やホールを共有。いつもの学生生活の中で多様な人々との交流が広がる。米国の「昭和ボストン校」は1988年の設立以来、昭和女子大学のグローバル教育を支えている。英語コミュニケーション学科(旧英米文学科)は、昭和ボストン校への留学が必修となっている。協働プロジェクト「世界食堂」では、学食のメニューを両学生が協力して提案。第一弾はテンプル大学本校があるフィラデルフィアの「チーズステーキ風ランチ」が再現された。食を通じた文化の相互理解の場となっている。日本文化を共に学ぶ授業プログラム。昭和女子大学日本語日本文学科とTUJの学生が、江戸時代に書写、出版された「徒然草」の実物本に触れ、日本の貴重書の取り扱いや徒然草の内容について学ぶ。特集 教育改革を実現するキャンパス戦略

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