カレッジマネジメント222号
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26リクルート カレッジマネジメント222 / May - Jun. 2020を新しく構築する必要性から構想されたのがINIADであり、「AIとIoT時代のための教育の場」とも言い換えられる。具体的には、「変化が加速する時代に文・芸・理を高いレベルで融合させたサービスを提供できる人材育成」であり、「連携するための文・芸・理の知識と学習について研究する学問」である。開設以来の志願者数の状況は図表2に示した。教育の基盤は、次世代の共通言語である情報連携基盤教育と語学を含むコミュニケーション教育である。1年次にその2つを共通カリキュラムで徹底的に学び、まずはコミュニケーションをとれる状態を作る。2年次からはコースごとに2つの研究領域を専門的に学ぶ4コース制を敷いている(図1)。授業はMOOCsを利用した事前動画予習を前提に、リアルの対面では議論を中心に展開するフリップトクラスルーム(反転授業)を原則とする。インプットとアウトプットの循環による効率的な知識修得2017年、東洋大学は東京都北区に情報連携学部(INIAD)を開設した。INIADは「文・芸・理の融合」と「連携」を掲げる。坂村健学部長はその起点としてDX革命を挙げる。「平成元年にインターネットが登場し、そこから情報通信技術は目に見えて人々の生活やビジネスの仕組みを変えました。現在はPCからスマホへとユーザーは移行し、5Gの展開を控える。次の大きな技術革新の波はIoT+AI。モノがネットワークにつながり、モノと人、モノとモノがオープンにつながり最適制御されるのが当たり前になります。そうしたDX革命を前提とした学問の在り様や社会へのアプローチをゼロから模索したのが、INIADです」。経済産業省が2018年12月にまとめたDX推進ガイドラインによると、DXとは「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」であるという。こうした社会を大きく変える技術を前提とした教育図1 INIADのカリキュラム図2 INIAD志願者数推移DX革命KEYWORD5坂村 健 学部長大学院4年3年2年1年高校生社会人留学生チーム実習ビジネスインキュベーションデータサイエンスビジネス研究デザイン研究デジタルデザインユーザエクスペリエンスデザインシビルシステム研究インフラサービスクオリティオブライフエンジニアリング研究コンピュータアーキテクチャコンピュータネットワークコミュニケーション(日本語/英語)プログラミングビジネスコースデザインコースエンジニアリングコースシビルシステムコース● 文・芸・理融合■ 四つのコース● 連携力■ チーム実習■ 一年次で連携基盤教育● 多様性■ 多様な参加ができる体制3,1645,2485,881(人)(年度)01000200030004000500060007000201920182017東洋大学 情報連携学部INIADビル全体をIoT教材‐学部教育の実践の場としてキャンパスを設計するDX革命を背景に次世代の学問をゼロから構築する情報・語学・協働を徹底的に修得するカリキュラム
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