カレッジマネジメント222号
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27リクルート カレッジマネジメント222 / May - Jun. 2020と同時に、自分とは違う価値観・意見を持つ他者と積極的にコミュニケーションできる力を培う。こうした教育が行われるメイン校舎のINIAD HUB-1は、「ビル全体が大学教育の教材」である。総床面積1万9000平米のビルの中に5000個のIoTデバイスが取り付けられており、プログラミングで教室の照明を点けたり消したりする演習や、ロッカーを開閉する演習も行われる。照明制御API(Application Programming Interface)とオープンの音声認識APIを組み合わせて声で照明を制御するといったことも行う。「プログラミングで生活環境を広げたり改善したりできる」ことを学び、オープンナレッジの組み合せで新しい価値を生み出し、それをまたオープンにするといった一連のプロセスを実践できるようになっている。建築外観設計は隈研吾氏、内装とIoT設備は坂村学部長がそれぞれ手掛けた。授業を行う教室に黒板はなく、クラウドに入った教材をプロジェクター投影して進める(写真参照)。こうした教育環境の充実もあってか、志願者数は開設以来順調に推移している(図2)。キャンパスが立地する北区は高齢化率が25%と高く、INIADの地域連携によるコミュニティプランニングや福祉研究にも期待が集まる。課題はイノベーションの源泉となる多様性の確保であり、「男女、日本人学生と外国人学生、新卒と社会人がそれぞれ1:1となるのが理想」と坂村学部長は言う。現状は外国人学生10%、女性は30%程度だが、INIADは企業との共同研究や社会人の再教育に力を入れており、キャンパス内により多彩な属性が行き交う光景は、遠からず実現するように思われる。(文 鹿島 梓)情報通信におけるデジタルトランスフォーメーション(DX革命)は社会の仕組みや生活を変えた。大学は、インターネットの恩恵を享受し情報システムを整備するだけでなく、社会インフラの変容に合わせた教育の在り様の再検討が必要であろう。新たな社会ニーズや技術革新がもたらす革命的変化に対して大学はどのような価値を提供できるだろうか。学んだ内容をファシリティで実践活用する仕掛けコミュニケーションや実習のために小教室中心の構成学生が授業で学んだプログラミングを活用することでロッカーが開錠されるインターネットに接続し、自動運転にも応用可能な様々な状況を実験できるT-CarAR技術を使ったナビゲーションシステム紙の本のない図書館人間が知覚する現実空間に情報を付与することで現実空間を拡張して見せることができるIoTテストハブに設置されたT-Car走行用サーキット特集 教育改革を実現するキャンパス戦略

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