カレッジマネジメント222号
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302018年11月26日の中央教育審議会答申「2040年に向けた高等教育のグランドデザイン」では、「質」と「多様性」が重要なキーワードとなり、これまでの「量的平等性」重視の改革から「質的多様性」尊重の改革への大転換が図られた。つまり、各大学はその多様な理念・目的に基づき、学修者が「何を学び、身に付けることができるのか」という学修成果を自ら実感できるとともに、質的保証が確認できる大学の教育成果を積極的に社会に公表していくことが求められたのである。その施策は、大学の内部質保証の確立のために2020年に策定・公表された「教学マネジメント指針」にも具現化され、大学レベル、学位レベル、授業レベルの3つのレベルにおける教育改善や大学運営を目指す初めての改革指針が示されることになった。昨年末に設立した国立大学法人山梨大学と公立大学法人山梨県立大学との一般社団法人「大学アライアンスやまなし」は、両大学が先の答申を受けて地域における高等教育のグランドデザインの実現を目指した取り組みであり、質的保証を把握・可視化するために学修者本位の教育の実現や大学の教育成果の発信、そして地域や社会のニーズに応えるという観点から教育研究の充実を図り、それぞれの強みや特色を生かした連携協力を行っていこうというものである。そもそも両大学の連携協力に向けた話は、大学をめぐる情勢に対して両学長が危機感を共有し、共に国立大学の統合・再編の経験者でもあり、日常的な交流の機会が多かったことから始まった。「地域の中核、世界の人材」を標榜する山梨大学と、「地域を愛し、地域を育て、地域を繋げる」ことをスローガンに掲げる山梨県立大学との使命・目的が類似していたこと、そして甲府駅を挟んでキャンパスがほぼ等距離(2km)にあるという地理的な条件もあった。共通して大学COC事業やCOC+事業に取り組み、また「地域イノベーション・エコシステム形成プログラム」(山梨大学)や「地方と首都圏の大学生対流促進事業」(山梨県立大学)等の地方貢献事業を推進していたことも拍車をかけた。何よりも連携構想を促進させたのが、山梨県(長崎幸太郎知事)の強いサポートであった。2019年5月23日に、山梨県、山梨大学、山梨県立大学の3者による協定書を交わすことになったが(図1)、その目的は「地域を支える人材育成やイノベーションの進展に寄与するとともに、地域の発展に資すること」に置かれた。また、協定書には、「国において検討が進められている大学等連携推進法人(仮称)制度の活用等を含めた連携」や「県内の他の高等教育機関等に波及させること」についても検討することが盛り込まれた。一般社団法人「大学アライアンスやまなし」の設立に向けた準備は急ピッチで進められた。両大学の理事6名による準備委員会及び総括準備事務室を立ち上げ、その下に両大学の教職員から成る5つの専門ワーキンググループ(後に質保証WGを追加)を設置した。そして定款リクルート カレッジマネジメント222 / May - Jun. 2020寄稿大学等連携推進法人の設立によって目指す新たな大学の姿─大学アライアンスやまなしの取り組み清水一彦 山梨県立大学理事長・学長地域における高等教育のグランドデザインを目指して

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